甲子園の再試合が消える…高野連、21年以降決勝でもタイブレーク導入検討

[ 2019年12月25日 05:30 ]

06年の夏の甲子園の決勝再試合、早実・駒大苫小牧戦の9回表2死、駒大苫小牧・田中将大(右)を三振に打ち取り初優勝を決めバンザイする早実・斎藤佑樹
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 高校野球の全国、地方大会の決勝戦でタイブレーク導入が検討されていることが24日、分かった。日本高野連は今年11月、来年センバツから「1週間で500球以内」の球数制限導入を決定。従来通りに決勝戦が延長15回再試合制となれば、再試合などで主戦投手が500球に達し登板できなくなる可能性もある。勝負と健康管理の両立へ向け、今後議論を重ねる。さらに、サスペンデッドゲームに相当する「継続試合」や、甲子園でのコールドゲーム適用なども検討していく。

 採用が見送られていた春夏の甲子園大会などの全国大会や、地方大会の決勝戦で、タイブレーク導入が検討される運びとなった。アマ球界関係者は「来年、議論の対象となるだろう」と話した。すでに導入の是非を含め、各都道府県高野連の意見の集約が開始されているもようだ。

 タイブレークは18年センバツから導入された。延長13回無死一、二塁から開始し、決着がつくまで繰り返す方式で、過去の甲子園では今夏の星稜―智弁和歌山を含め3度あった。一方で決勝は適用外とされ、従来通り15回まで行い同点の場合は引き分け再試合を行う。導入議論の際、日本高野連の技術・振興委員会原案では決勝でもタイブレーク採用としていたが、現場へのアンケートで「(日本一や甲子園出場を懸けた)決勝は例外にしてほしい」という意見が7割以上に上り、心情を重視して採用を見送った経緯がある。

 しかし、障害予防や健康管理の観点から、日本高野連は今年11月に来年センバツから「1人の投球総数を1週間500球以内」とするなどの投球数制限の実施を決めた。仮に準々決勝以降を考えた場合、決勝戦が再試合となると「6日間で計4試合」を行う。大事な再試合を前に500球に到達するという可能性もある。選手の健康管理とともに、勝負を両立させる案がタイブレーク導入といえる。

 さらに球数制限導入に伴う改革として、いわゆるサスペンデッドゲームに相当する「継続試合」の導入、そして甲子園でのコールドゲーム適用も合わせて検討される可能性が浮上している。これまでは試合成立しない時点での天候不順の場合はノーゲームとなっていたが、その球数もカウントしなければ、選手の健康管理とはならない点など、さまざまな観点から意見集約を進めていくもようだ。

 高野連は球数制限導入の際にも慎重に討議を重ねてきた。早くても21年以降の導入とみられるが、時代とともに変化する気象条件や選手の健康管理への議論はさらに加速しそうだ。

 《06年なら再試合で65球だけに》06年夏の甲子園で決勝再試合を経験した早実・斎藤の時代には準々決勝以降の休養日はなく4連投だった。現行の日程に当てはめてみると、準々決勝から決勝戦までの3試合で435球を投じたため、再試合では65球(500球に到達した対戦中の打者完了まで)しか投げられないことになる。

 《甲子園主なルール変遷》
(1)18回制(58年夏~)
 58年夏の準々決勝で徳島商・板東英二=写真、魚津・村椿輝雄が18回まで投げ合い0―0。引き分け再試合適用1号。
(2)15回制(00年春~) 
 98年夏に横浜・松坂大輔が準々決勝で延長17回250球を完投。新たな打ち切りルール設定が議論された。
(3)休養日(13年夏~)   
 13年春準優勝の済美・安楽智大は初戦の13回232球をはじめ大会通算772球。準々決勝翌日に休養日が設定された。18年夏に金足農・吉田輝星は地方大会から甲子園決勝まで1517球を投げ=写真、19年夏から決勝前日も休養日に。
(4)タイブレーク制(18年春~)
 明治神宮大会で11年、国体で13年から導入。春季大会では14年から採用され18年から全国一律採用。延長13回以降は無死一、二塁から始め、決着まで続ける(決勝は15回引き分け再試合)。
(5)球数制限(20年春~)  
 来春センバツから(1)1人の1週間の総投球数を500球以内(2)原則として3連戦を回避(3)「申告敬遠」導入などが決定。

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2019年12月25日のニュース