古巣からのブーイングに断固反対 移籍選手に浴びせられる心ない声

[ 2019年11月25日 13:37 ]

ファン感謝祭でファンの声援に応える美馬(撮影・西尾 大助)
Photo By スポニチ

 今オフのFA選手をめぐる争奪戦もいよいよ最終盤を迎えている。11月25日、ロッテは楽天からFA宣言した美馬学投手(33)の獲得を発表した。同18日には楽天がロッテからFA権を行使した鈴木大地内野手(30)と入団合意したと発表。西武の秋山翔吾外野手(31)はメジャー移籍が有力で、国内移籍では、ソフトバンクの福田秀平外野手(30)を残すのみとなっている。

 FA権を行使しての移籍は、長年にわたって活躍してきた選手の勲章だ。だが、毎年のようにFA移籍を決断した選手に対して一部ではあるが批判的な声が上がる。移籍経験のある選手は言う。「批判は覚悟していたし、それも含めてFAだと思って決断した。でも、なぜここまで言われなければいけないのかという思いもある」。偽らざる本音だろう。

 ほとんどのファンが、移籍を決断した選手に対して理解を示した上で「これからも頑張って」などと激励の言葉を送る。事実、24日のファン感謝祭に参加した美馬は「厳しい声があるかなと覚悟していたけど、一言もそういった声はなくて。楽天のファンのみなさんは最後まで優しかった」と振り返った。

 一方で、ごく少数派なのだろうが一部ファンによる心ない声を浴びせられるのも現実だ。数年前に移籍直前のファン感謝デーに参加したある選手は「“裏切り者”とか“今すぐ球場から出て行け”と言われた。つらかったですね」と明かす。別の選手は「ファンみなさんの応援は本当に力になる。でも、ネガティブなものはかなりこたえる。全ての意見に対してきちんと説明したいけど、なかなかそういうわけにもいかないですし…」と話す。

 シーズン中、心が痛くなる場面に出くわすことがある。古巣ファンから移籍した選手へのブーイングだ。今季でいえば、楽天に移籍した浅村栄斗内野手(29)の西武との初戦(県営大宮)。スタメン発表、打席に立った際、ヒーローインタビュー中にもブーイングと罵声が飛んだ。

 その選手への愛が強かったからこその行為なのかもしれない。ファンあってこそのプロ野球だし「ファンには批判する権利もある」と言われれば、そうかもしれない。ただ私個人としてはブーイングには断固反対だ。相手を思いやる気持ちこそ日本人の美徳ではないか。来季も複数の選手が新天地でのキャリアをスタートさせるが、決してブーイングが起きないことを願うばかりだ。(記者コラム・重光 晋太郎)

続きを表示

2019年11月25日のニュース