輝星 21世紀生まれ初勝利!「一番の武器」8割直球で広島打線ねじ伏せた

[ 2019年6月13日 05:30 ]

交流戦   日本ハム2-1広島 ( 2019年6月12日    札幌D )

ウイニングボールを手に栗山監督と写真に収まる吉田輝(撮影・高橋茂夫) 
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 日本ハムのドラフト1位・吉田輝星投手(18)が12日、広島戦でデビューし、5回を4安打1失点でプロ初勝利を挙げた。3連覇中のセ・リーグ覇者を相手に最速147キロの直球を主体に真っ向勝負を展開。4三振は全て直球で奪った。交流戦でのプロ初登板初勝利は05年の日本ハム・ダルビッシュ(現カブス)以来2人目。球界史上初の21世紀生まれの白星ともなった。 

 18歳とは思えないマウンド度胸を持っている。初回1死満塁。吉田輝はいきなりの大ピンチで開き直った。

 「ストレートで押していって、打たれたらしようがない」。真っ向勝負。5番の西川を直球2球で追い込み、3球目も外角へ140キロ直球を投じ、空振りさせた。プロ初三振を奪い「試合前は不安があったけど、あれで自分の直球が通じると自信が持てた」。続く磯村も三ゴロに仕留めてピンチを脱出した。

 2軍で忘れられない試合があった。4月13日のロッテ戦。初回に直球でソロを浴びると、変化球でかわす投球になり、荒木2軍監督兼投手コーチの怒りを買った。「自分の一番の武器で戦わなくてどうする」。最大の武器は最速152キロを誇り、浮き上がるような直球。昨夏甲子園で金足農を準優勝に導いたのも、この直球だった。これが転機になった。

 1軍昇格への最終試験となった4日の巨人戦でも、その姿勢はぶれない。2軍で自己ワーストの6失点を喫するも、逃げずに直球を投げ続けた。栗山監督も「ストレートにこだわって戦う姿勢を崩さなかった。勝つために投げてもらう」と1軍デビューを決めた。

 その晴れ舞台で84球中67球が直球。実に80%に達し、最速は147キロを計測した。3回は、バティスタから始まるクリーンアップを3者凡退。特に4番の鈴木には第1打席から8球続けて直球を投げ、144キロ直球で右飛に打ち取った。「徐々にマウンドにもなじんでいって、3回以降は自分の思い通りのボールが投げられた」

 2軍では最長で4回0/3、球数も77が最多だったが5回、84球を投げ抜いた。初めて勝利投手の権利を得たのが1軍初登板。それも昨季セ・リーグ最多勝の大瀬良に投げ勝った。広島が高卒新人に初登板で白星を許すのは05年のダルビッシュ以来14年ぶり。偉大なOBに続き「正直全然及ばない」と話したが「直球だけはこれから勝ちたい」と腕をぶした。

 一度出場選手登録から外れる見込みだが、今週は1軍に同行。次の先発機会もそう遠くはない。「ここがスタートラインだと思ってこれからも勝てるように」。平成最後の怪物と呼ばれた男の伝説が、ここから始まる。(武田 勇美)

 《全84球中67球が直球》吉田輝はまだ1試合だけの先発だが、全投球に占める直球の割合80%は今季の先発投手では最も高い。70%超えは、バンデンハーク(ソ)とロメロ(中)の150キロ超の直球を武器としている外国投手2人。9試合に先発しているロメロは80%を超えたのは2試合だけで、最高は5月22日広島戦の84%だった。

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2019年6月13日のニュース