巨人“ドラ1”桜井、苦しみ乗り越え…4年目に踏み出せた“プロの一歩”

[ 2019年5月29日 10:20 ]

<巨・D10>原監督(左)にプロ初勝利を祝福される桜井(撮影・篠原 岳夫)
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 23日のDeNA戦。初々しい笑顔が東京ドームに花開いた。巨人の15年ドラフト1位右腕・桜井がプロ初勝利をマーク。ウイニングボールを手に、原監督と固い握手を交わした。

 「緊張しすぎました。口が渇いた」

 初のお立ち台。渇いた口から発せられた言葉は、正直言って聞き取りにくかった。「これがプロ野球かと。改めて感じました」。緊張する姿に、巨人ファンからは温かい拍手と大歓声が注がれた。

 3点リードの5回1死から登板。1回2/3を3安打1失点。150キロ超の直球で押した。原監督も「今まではベースの半分くらいで勝負しているように見えたが、今は(ストライクゾーンを)広く使って投げている」と成長に目を細めている。

 苦しい道のりを歩んできた。故障と不振で過去3年間はほとんどが2軍暮らし。周囲の目も突き刺さり「野球を辞めたいと思ったこともあった」。働き場も先発から中継ぎに変わった。今季は開幕1軍入りを果たしたが、5月には再び2軍落ちも味わっていた。

 チームのブルペン事情は苦しい。新外国人のクックが右肘の違和感で2軍調整中。体調不良で出遅れたマシソンも2軍で実戦経験を積み重ねている段階。ともにチームの構成上で求められていたのは「勝利の方程式」の中での役割。現場は苦しいやりくりが続く。

 そんな中、左の中川らとともに奮闘する姿を示す桜井。桜井、中川はともにエース・菅野の門下生だ。ハワイ自主トレでは最高の教科書と寝食をともにし、1軍で活躍するための術を目の前で学んできた。ついに、その成果が現れ始めている。

 支えてくれた両親に送り届けるウイニングボールは大事そうに持ち帰った。「感謝の気持ちを忘れないようにしたい」。4年目にして桜井の本当のプロ野球生活が幕開けした。(記者コラム)

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2019年5月29日のニュース