球児 大野氏に守護神への思い語る「つぶれる覚悟でいきますよ 守るものは何もない」

[ 2019年2月19日 10:00 ]

大野豊氏(左)と対談し「不動心」のグラブを手にポーズを決める藤川(撮影・坂田 高浩)
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 【本紙評論家 キーマン直撃 オレがキク 1】阪神・藤川球児投手(38)が、本紙評論家の大野豊氏に守護神を目指す今季に懸ける思いを語った。また、唯一と言える個人の目標には生涯防御率1点台を設定。若手の壁になるのではなく、挑戦する姿を後輩たちに示す1年とすることを誓った。

 大野 今年は大きなチャレンジをしようとしているね?

 藤川 大きいですか?

 大野 実績もあるし、メジャーに挑戦して古巣に戻ってきた。昨年まで外国人の抑えがいて、その前(セットアッパー)をやりがいを感じて投げていた。改めて今年、クローザーに挑戦する気持ちでキャンプに入っているんだよね?

 藤川 (気持ちは)日に日に上がってきてますね。周りとのバランスを見ながら実はやっていて…。自分だけがクローザーを目指しても、チームのバランスもあるので。昨年、一昨年は周りを見ながら、どこかが足りなくなるだろうと見ながらやっていたつもり。チームのためにやっているうちに、自分のパフォーマンスも、相手のバッターのことも理解して。自分に何が必要か感じることが出来だした。そこまでは来たので、次のステップとして向上心を持つためにクローザーをやるという。よそ(他球団)のクローザーを見ても、特別すごいと思わないですしね。

 大野 今チームにいる抑えよりも“俺ができる”という気持ちがないとできない。

 藤川 ドリスより良いからとか、考えていなくて。相手打線の流れ、広島ならその並びを見ていった時に、自分がハマれそうな気がすると今のところ感じているので。

 大野 球児の持ち味と言えばストレート。良い時は低めじゃなくて、高めで振らせる。そういうイメージはどれくらい残ってる?

 藤川 昨年も三振60ぐらい(67個)取ったんですかね。ほとんど低めのストレートで取れていない。

 大野 高めで空振りを取れるということは、自信も付いてきているのかな。

 藤川 高めで振らせることができたので、更に向上しながら。ただ、低めの制球はカウント球でどうしても必要。例えばストレートを3球連続で投げるなら1球は必ずアウトコースないし、甘めに見てベース板を真ん中で割って、外のベース半分の高さを抑えたところに投げることで、あと2球は高めに使える。

 大野(日米通算)250セーブまであと23。意識は?

 藤川 全くないですね。

 大野 でも、近いところまで来てて、250セーブ挙げれば名球会だから。

 藤川 それを思わないんですよね…。

 大野 一つの目安、目標として、自分の刺激に。それも一つの挑戦だと思う。通過点で良いと思うんだけど。あと、数字の目標として生涯の防御率を1点台(※注1)に下げるのは?

 藤川 それですね、それはあります。

 大野 こだわりがある?

 藤川 2点台を切れるとは思ってます。そこに対して、自分が真剣にアプローチできるか。シーズンに入ったら、3点差があれば2点まで取られても構わないじゃないですか。そこで全力を出すことによって、じゃあ次の日に1点差で同じ対戦カード、同じ打順が来ることもあるので、前日に4点差ですべてを出し切って勝負するわけにはいかない。引き出しは多少持っておきたい。そのバリエーションにとらわれて引き出しを開けすぎても駄目だし。難しいですけどね…。ただ、どんな状況になっても、唯一の目標が1点台にすることですね。

 大野 今年は、どういうピッチングをしたい?

 藤川 つぶれる覚悟でいきますよ、もちろん。守るものは何もないですから。

 大野 その気持ち。今時、数少ない投手の一人だから。

 藤川 ありがとうございます。

 大野 俺は防御率にこだわりがあった。1点も取られたくなかった。何点差あっても、スキを見せたくなかった。その時に結果ではなく、内容を重視した。クローザーをやった時も無駄な四球を出さない。無駄な走者を出さない。極力、少ない球数で1イニングを投げきると思ってやってきた。

 藤川 僕は出塁は許したくないですね。打ち取り方に緩急を付ける。次の日に対戦する、もしくは、年間で(同じ打者とは)5、6打席しかないので。そこで3打席連続で同じ勝負の仕方には絶対にならないようにしたい。自分主導で出塁させずに、関係ないところでホームランを打たれない、長打を打たせない。バッターに気持ち良くスイングをさせないことが大前提。僕の場合は高低が一番(重要)になるので。バッターに遠いところ、近いところは高くて良いので。それを見せながら、最初の1球目と、抑えるボール。一番難しいのは、今のところ初球ですね。

 大野 セーブを挙げようが、ホールドを挙げようが、今年の球児は1球、1球の質、内容を伴った結果を出す投球を見せたい?

 藤川 間違いなく、そうですね。ボールが良いのは、昨年、相手バッターから間接的に入ってきたので。良いと思われて(今年の)対戦に入るので。だったら、違うことをしないと。違うことをして、さらに元々あるボールを光らせる、輝かせる。

 ※1 目下NPB通算866回、自責点196の防御率2・04。今季開幕から18回1/3を連続で自責0に抑えれば、通算で1点台(1・99)に到達する。なおシーズン終了時点の通算防御率1点台はメジャー移籍直前の12年1・77が最新。

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