西武・秋山 イチロー超えを置き土産に?

[ 2019年1月31日 11:00 ]

西武・秋山翔吾
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 【宮入徹の記録の風景】ヒットメーカーとしての凄みが伝わる。昨年、秋山翔吾外野手(30)は両リーグ最多の195安打をマーク。15年にプロ野球最多のシーズン216安打を記録してから16年171安打、17年185安打、そして昨年195安打と最近4シーズンで積み上げた安打は767安打に達した。この間の1シーズン平均は191・8安打。プロ野球でシーズン190安打以上は16人(22度)しかクリアしてない。秋山のレベルの高さが分かる。

 実は4シーズン通算の安打数としてはイチロー(オリックス)が94年から97年まで210→179→193→185と記録した数字と全く同じ。イチローは98年に181安打を放ち、5シーズン通算だと948安打。今季秋山が182安打以上ならイチローを抜く最多安打になる。

 イチローつながりでもうひとつ。秋山は14年9月6日ソフトバンク戦から596試合連続フルイニング出場のパ・リーグ記録を継続している。この間の17年には自身初の首位打者を獲得した。フルイニングに出場し首位打者になったのは秋山の他に69年王貞治(巨人)、95年イチロー、01年松井秀喜(巨人)、10年西岡剛(ロッテ)といるだけ。複数回の獲得選手はいない。秋山が今季史上初の記録に挑むことになる。

 昨年の秋山は24本塁打をマーク。17年も自己最多の25本塁打を放っており、それまで各年20本未満だった本塁打が増え、パワーアップに成功した。シーズン190安打以上の打者で同時に30本塁打以上を放ったのは50年藤村富美男(阪神=191安打、39本)、99年ローズ(横浜=192安打、37本)、小笠原道大(日本ハム=195安打、32本)、松井稼頭央(西武=193安打、36本)と4人。「200安打&30本塁打」は1人もいない。秋山の成長度を考えれば、達成可能な目標といえそうだ。

 秋山の本塁打数が伸びれば、チームに大きなアドバンテージをもたらす。というのも勝利に結びつく一発が多いからだ。秋山が本塁打した試合に西武は通算67勝22敗1分け(勝率・753)。特に先頭打者本塁打を放った試合だと、14勝1敗1分け(勝率・933)まではね上がる。14年6月27日ソフトバンク戦からは1引き分けを挟み14連勝中と圧倒的だ。14本中11本がそのまま決勝アーチというのも驚く。通算14本以上の先頭打者本塁打を記録したのは福本豊(阪急)の43本を筆頭に48人。この中で自ら先頭打者本塁打した試合にチームが2桁連勝は秋山のみ。次いで多い福本でも9連勝止まりだから秋山の本塁打は価値が高い。

 ウィークポイントを探すのが難しいくらいだが、苦手な投手がいる。楽天の松井だ。これまで20打席以上対戦した投手は66人。うち、松井とは21打数2安打(打率・095)とほんろうされ、唯一打率1割未満に抑えられている。ただし、17年に打率・143に抑えられた上沢(日本ハム)を昨年は・350、同じく17年に・188だった二木(ロッテ)を昨年・364と攻略。あっさり苦手投手を克服した実績もある。秋山は来季以降の米大リーグ移籍を視野に入れている模様。今季が日本でのラストシーズンになるかもしれない。高い修正能力を発揮し、最良のシーズンを送りたいところだ。(敬称略)

 ◆宮入 徹(みやいり・とおる)1958年、東京都生まれ。同志社大卒。スポニチ入社以来、プロ野球記録担当一筋。94年から15年まで記録課長。

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