阪神移籍の西 オリックス時代の女房役が明かす能力 最大の武器は高い制球力 

[ 2018年12月27日 09:00 ]

新天地での活躍に太鼓判を押した日高
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 オリックスから国内フリーエージェント(FA)権を行使して阪神に移籍した西勇輝投手(28)を入団当時から知る男が阪神にいる。オリックスではチームメートだった日高剛2軍育成兼分析担当コーチ(41)。現役時代はバッテリーも組んだ元女房役として「投手・西」の能力を明かした。

 西が阪神に入団後初めて甲子園球場に足を踏み入れた今月17日は師走とは思えない暖かさに包まれた日だった。目的は施設見学でも早速トレーニングを開始。偶然の再会を果たしたのが所用で訪れていた日高育成兼分析担当コーチだった。

 「来るとは知らなかった。たまたま。黙々とトレーニングしていたよ。そのときに30分間ぐらい話しをした」

 年齢差は13あっても共通点は多い。「縁を感じるね」と感慨深そうに話した。若き右腕はオリックス時代の戦友。しかも、同じ高卒出身でバッテリーを組んだ間柄だ。FAで移籍先に選んだのも阪神。そして、来季からは同じタイミングでタテジマのユニホームを着る運命となった。

 「“えらいとこに来たな”とは言ったよ(笑い)。外から見ているタイガースと実際に入ったタイガースは違う。不安もあるのだよう。西もいろいろなことを聞いてきたよ」

 12年オフにFA権を行使してオリックスから阪神へ移籍した経験者。実は今秋に西がFA宣言した後も良き相談相手の一人として連絡を取っていた。静かに後輩の動向を見守っていたのは信頼関係があったからだ。先輩として、捕手として西を入団当時から知る。

 「(性格は)言葉は悪いけどクソが付くほどマジメ。昔からです。例えば野球でもブルペンでは球種、コース、変化の仕方など…事細かに1球ごとに設定して投げる。そこに投げきれなかったら練習でも試合でも態度に出して悔しがるんです」

 バッテリーとしての苦労話も懐かしい思い出だ。「ボール一つ外れても必ず悔しがる。こっちが“ナイスボール”と言っても、あいつは悔しがっていた」。入団当時から「勝てる投手」の素質を兼ね備え、妥協を許さず完璧を追い求める性格が10年間で通算74勝の結果につながった。最大の武器は高い制球力。すべては努力のたまもので、新天地での活躍にも太鼓判を押した。

 「西の真骨頂は制球力。制球力が良いから打たれたら捕手の責任と思ってリードしていた。阪神に来ても、あいつの性格なら大丈夫と思っていますよ」

 14年限りで引退してから4年。今秋に2軍育成兼分析担当として初めてコーチに就いた。西との関係は“コーチと選手”へ変化しても、これまでと同様にサポートすることには変わりない。最後に愛情たっぷりのエールを送った。「これからは(2軍コーチの自身と)顔を合わせないことがお互いにとって一番いいこと」。元女房役は“決別”を宣言し、新たな道を進む背番号16の背中を無言で押した。(山本 浩之)

 《先発バッテリー12年1試合のみ》西と日高がオリックスで「先発バッテリー」を組んだのは、12年9月24日ロッテ戦(QVCマリン)の1試合のみ。西は7回を投げ8安打5失点(自責3)で4月28日西武戦(京セラドーム)以来の3敗目。打線もグライシンガーに3安打完封を許し、球団ワーストに並ぶ11連敗で3年ぶりの最下位が確定した。

 ◆日高 剛(ひだか・たけし)1977年(昭52)8月15日、福岡県生まれの41歳。九州国際大付から95年ドラフト3位でオリックス入団。06年オフにFA宣言して残留。09、10年には選手会長を務めた。12年オフに海外FA権を行使して阪神へ移籍。14年限りで現役を引退。通算1517試合で打率・237、79本塁打、434打点。引退後は阪神の球団本部編成部でプロスカウトなどを務め、来季は2軍育成兼分析担当コーチ。1メートル82、90キロ。右投げ左打ち。

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