巨人・長野久義 フランチャイズ・プレーヤーの意地を見せるか

[ 2018年12月27日 08:30 ]

巨人・長野
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 【宮入徹の記録の風景】 巨人はFAで広島から丸を獲得。来季は丸の加入で巨人外野手のレギュラー争いは激しさを増しそうだ。今季巨人の外野手で100試合以上に出場したのは亀井114試合、長野113試合と生え抜き2人だけ。亀井は9年ぶりに規定打席に到達したが、長野は8月31日に背筋痛のため、自身14年9月以来4年ぶりの登録抹消。最終的には規定打席に17足りず、入団1年目の10年から続いていた規定打席到達は8年連続で途切れてしまった。

 それでも116試合に出場し、打率・290と健闘。9月28日のDeNA戦では0―0の9回にサヨナラソロ本塁打を放ち、菅野に1―0勝利をプレゼント。同月30日の広島戦では9回にサヨナラ中前安打を記録し3日で2度のサヨナラ安打の離れ業をやってのけた。

 入団1年目からの長野の殊勲安打(先制、同点、勝ち越し、逆転、サヨナラ)のチームランクは3位5度、4位1度、5位3度と全て5位以内。今季も13本で岡本28本、マギー17本に次いで3位と勝負強さは健在だ。さらに、打撃の安定感も相変わらず。今季は規定打席に届かなかったが111安打をマーク。1年目から続くシーズン100安打以上を9年連続まで伸ばした。巨人で9年以上の連続シーズン100安打は長嶋茂雄17年、原辰徳12年に次ぐ歴代単独3位になる。また、巨人の規定未満の打者の安打数としては12年阿部の114安打に次いで歴代2位。右打者では68年高田繁の104安打を50年ぶりに抜く最多記録になった。

 加えて9年連続で100安打、2桁二塁打、2桁本塁打を継続中。過去にこの数字を最も長く続けたのは59〜78年張本勲(日本ハム、巨人)の20年。次いで長嶋茂雄(巨人)、17年有藤通世(ロッテ)15年と続き、9年以上は長野が史上13人目。来季10年連続に伸ばせば46〜55年大下弘(東急、西鉄)と並ぶ歴代8位タイに浮上する。節目の10年目を迎え目標にしたい数字だ。

 長野の打撃の特徴といえば思い切りのよさ。入団以来、2球目までの各年度の打率は、10年・333、11年・372、12年・362、13年・341、14年・373、15年・336、16年・358、17年・311、18年・348と常に3割台をキープ。通算・351の高打率を残している。もっとも、今季も2球目までは・348だったが、3球目以降だと・264までダウン。来季は投球数が多くなったケースでの打撃精度を上げたいところだろう。

 守備面での高い貢献度も見逃せない。今季巨人の外野手で規定試合(95試合以上)に達したのは亀井と長野の2人だけで亀井の6失策に対し、長野の失策はわずか1。堅実な外野守備を見せた。11〜13年まで3年連続ゴールデングラブ賞の実績もある。同賞を6年連続6度受賞中の丸の加入でより強固な外野陣が期待できそうだ。

 来季は丸、亀井の他にゲレーロ、陽岱鋼、それに若手の重信、和田ら外野の定位置を争うライバルは少なくない。長野は11年に打率・316で首位打者に輝いている。2リーグ制後、首位打者返り咲きの最長ブランクは67年張本勲(東映)、71年江藤慎一(ロッテ)の6年ぶり。来季自身2度目の戴冠となれば8年ぶりで最長記録を更新する。長野の10年目のチャレンジに注目したい。(敬称略)

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