【裏方の流儀】オリ藤田チーフ通訳 助っ人砲に愛される“言葉の助っ人”

[ 2018年2月21日 10:46 ]

裏方の流儀=オリックス・藤田義隆チーフ通訳(60)

サインプレーの練習でマレーロ(左)に対して細かな指示を伝える藤田チーフ通訳
Photo By スポニチ

 グラウンドを離れても、ロメロとマレーロから離れない。オリックス・藤田義隆チーフ通訳は「いつも自分が一緒にいる中で、彼らにストレスを感じさせてしまうことも、あるかもしれませんね」と苦笑いする。練習中はもちろん、ミーティング、相手投手の映像チェックにも付き添い、移動便や遠征先に同伴するなど家族以上に濃密な時間を過ごす。

 中学時代に愛聴したビートルズがきっかけで英語習得を決意。82年に神戸・聖ミカエル国際学校を卒業、83年に同校OBの紹介で近鉄入りした。通算464本塁打のタフィ・ローズ、同357発のアレックス・カブレラら大砲を担当してきた。

 「今はネットですぐに分かりますが、最初は英語の野球用語を理解するのに苦労しました。選手と何度も確認し突き詰める中で、互いの関係も深くなったと思います」

 仕事の流儀に人柄がにじみ出る。「ずっと一緒にいる中で、彼らが活躍してお立ち台に上がるのはうれしいけど、降格や戦力外を伝えるのはしんどいです」。現役の球団通訳では全球団最長の35年。連れ添った100人超の助っ人から「フジ」の愛称で親しまれ続けるのは誠実だから。「黒子ですよね」。親身に寄り添い、言葉を紡ぐ。助っ人砲とファンをつないでいる。(湯澤 涼)

 ◆藤田 義隆(ふじた・よしたか)1957年(昭32)8月12日、兵庫県神戸市生まれの60歳。市芦屋―聖ミカエル国際学校英語科卒。野球未経験ながら、知人の紹介で83年に球団通訳として近鉄入り。10年からチーフ通訳。

続きを表示

2018年2月21日のニュース