“小さな大砲”盛岡大付・植田 2イニング連発「高校最後と思って」

[ 2017年8月20日 05:30 ]

第99回全国高校野球選手権第11日・3回戦   盛岡大付12―7済美 ( 2017年8月19日    甲子園 )

<済美・盛岡大付>10回無死二塁、中越えに2打席連発となる3ランを放ち、ガッツポーズの盛岡大付・植田
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 自分で驚いた。盛岡大付(岩手)・植田が言う。「詰まった。まさかいくとは」。内角高めの力のある球に押されながら、フルスイングで押し返した。9回無死、起死回生の同点ソロが中越えに消えた。

 「高校最後と思って入った」打席で試合を振り出しに戻し、延長10回には両校計5本塁打が飛び出す乱打戦にケリをつけた。林の勝ち越し打の後、無死二、三塁でバックスクリーンへダメ押し3ラン。春夏連続、そして夏は初めてとなる8強入りの立役者は「一番きれいなホームラン。2本はたまたまです。みんなが打たせてくれた」と振り返った。

 岩手大会4本塁打で、高校通算60発として甲子園へ。2回戦まではノーアーチだった。「植田はここまで気負っていた」と関口清治監督。昨夏、今春の甲子園でも本塁打を記録した大砲が目覚め、史上6人目の3季連続弾を記録した。2イニング連発の61号、62号で同じ関西出身としてライバル視する履正社・安田に並び、「やっと追いつけた」と笑った。

 4安打5打点。1メートル65と小柄だが、ベンチプレス110キロ、スクワット240キロを上げ三浦奨は「筋力測定ではいつも植田が断トツ」と明かす。センバツのメンバー選考ではベンチ入りにはベンチプレスで80キロ以上、定位置確保には100キロ以上と目標数値が設定され、冬場のトレーニングに力を入れた。4月の練習試合で痛めた右手首は万全ではないが持ち前の筋力が2アーチを生んだ。

 「ここまで来たら監督を胴上げしたい」。日本一を達成するまで、小さな巨人が打ちまくる。 (原田 真奈子)

 【植田 拓(うえだ・たく)】

 ☆生まれとサイズ 1999年(平11)5月10日、大阪府生まれの18歳。1メートル65、73キロ。右投げ右打ち。

 ☆球歴 小1から貝塚リトルで野球を始める。貝塚シニアでは中堅手で3番。盛岡大付では1年春から外野手でベンチ入り。昨夏、今春の甲子園も背番号8で中堅のレギュラーで出場。

 ☆好きな言葉 「一生懸命」

 ☆将来の夢 プロ野球選手

 ☆身体能力 50メートル走はチームトップタイの5秒9で遠投は110メートル。

 ☆性格 比嘉主将によると「おしゃべりなときと、凄く無口なときがあって気分屋」。

 ≪3季連続本塁打≫盛岡大付の植田が済美戦で2打席連続本塁打。中沢(青森山田)に続き今大会4人目で通算35人、37度目だが、延長回を含めてのゲーム2打席連発は史上初だ。植田は16年夏の創志学園戦、17年春の履正社戦でも本塁打を放っており、92年夏〜93年夏の根本(常総学院)以来6人目の3季連続本塁打となった。

 ≪東北勢決勝進出?≫盛岡大付(岩手)、仙台育英(宮城)が3回戦を突破。東北勢2校が8強に進出するのは15年以来2年ぶり8度目。宮城県勢を含めた2校進出時は過去4度あり、必ずどちらか決勝まで駒を進めている。今年こそ大旗の「白河関越え」を達成できるか。

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