広陵逆転８強　怪物捕手・中村３戦４発「清原さん超えたい」

第９９回全国高校野球選手権第１１日・３回戦   広陵６―４聖光学院 （ 2017年8月19日    甲子園 ）

＜聖光学院・広陵＞９回表無死一塁、広陵・中村は左越えに３試合連続の勝ち越し２ランを放つ
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　３回戦４試合が行われた。広陵（広島）は今秋ドラフト１位候補の中村奨成捕手（３年）が９回に３試合連発の決勝２ランを放ち、聖光学院（福島）を撃破。中村は今大会４号で、８５年にＰＬ学園・清原和博が記録した大会５本塁打の最多記録にあと１とした。仙台育英（宮城）、盛岡大付（岩手）、花咲徳栄（埼玉）も勝ち、８強が出そろった。

　確かな感触が残る右手を突き上げた。中村は同点の９回無死一塁で、聖光学院バッテリーが高めに外そうとした球を叩いた。準優勝した０７年以来１０年ぶりの８強を引き寄せるアーチが、左翼席中段へ突き刺さった。

　「２球で追い込まれてヤバいと思った。体が勝手に反応した。感触は完璧でした」

　救援登板した背番号１から最終第５打席で一発――。過去２試合を再現した。１回戦の中京大中京戦は香村から右中間へのソロ。２回戦の秀岳館戦は田浦から左越えへ３ラン。流れを変えようとする相手を、圧倒的な力ではね返してきた。

　中井哲之監督は「まぐれがここまで続くと認めざるを得ない。謙虚に練習したことが出ている」と褒めた。初戦から３試合で４本は春夏を通じて史上初。捕手としても７９年浪商の香川伸行らを抜いて単独トップに立った。もう上には清原しかいない。「どうせやるなら清原さんの５本を超えたい」と力強い宣言が飛び出した。

　５月に左手首に死球を受けた。熊の手のように腫れ、２週間バットを振れなかった。広島大会初戦でも右手首に死球を受けたが、練習から「バットをうまくボールに当てて回転をかけることを心掛けた」ことで、広島大会準決勝から５試合連続の一発だ。

　６回には同点の中前２点打。３試合計１３打数１０安打の打率・７６９で、８８年の津久見・古閑憲生の大会記録、打率・７２７（３試合計１１打数８安打）超えも見える。捕手目線で「打者・中村」をどう抑えるか問われ「高めを見せて、外のボール球を引っかけさせる。中井先生に教わったように。でも、今は引っかからないと思います」と、指揮官を見ていたずらっぽく笑った。

　打棒とともに強肩でもプロの注目を集める。４回無死一塁では瀬川の二盗を刺し、８回無死一塁では三塁線へのバントを拾って併殺を完成した。「記憶にも記録にも残って、日本一になれるようにしたい」。背番号２には、それを実行するだけの自信が満ちあふれていた。　（石丸　泰士）

　▽甲子園本塁打数　広陵・中村が９回に３試合連続となる４号本塁打。１大会４本塁打は１２年北條（光星学院）以来６人目となった。３試合での４本塁打は初めてで、大会記録の８５年清原（ＰＬ学園）の５本にあと１本と迫った。４本の４人は次の試合は不発で大会を終えたが、中村には最大で３試合チャンスが残る。また、３試合連続本塁打は昨年の入江（作新学院）以来で春夏通算で１０人目（春２人、夏８人）。２０日の仙台育英戦では清原の記録とともに春夏通じて史上初の４戦連発に挑むことになる。