仙台育英生き返った 馬目サヨナラ打「試合が終わったと…」

[ 2017年8月20日 05:30 ]

第99回全国高校野球選手権第11日・3回戦   仙台育英2―1大阪桐蔭 ( 2017年8月19日    甲子園 )

<仙台育英・大阪桐蔭>9回裏2死満塁、仙台育英・馬目は左中間に逆転サヨナラ二塁打を放ち大阪桐蔭・西谷監督(左)の春夏連覇の夢を打ち砕く
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 仙台育英アルプス席が歓声で渦巻く。中越えへ逆転サヨナラの2点打を放った背番号16の馬目(まのめ)がナインの輪に飛び込んだ。

 「打った時は何が何だか…頭が真っ白になった」

 センバツ王者の大阪桐蔭を破った。9回2死走者なしから切れかけた糸をつないで、勝利を手にした。

 ヒーローは次打者席で「一瞬、試合が終わったと思った」という光景を見た。一、二塁から若山は平凡な遊ゴロ。泉口の送球が一塁・中川のミットに収まり、若山は突っ伏した。だが――

 「セーフ!セーフ!」

 乗金塁審が激しくコール。中川の足が塁から離れていた。九死に一生を得て満塁。若山が起き上がり、胸をなでた。

 一塁ベースコーチの佐藤は「(塁から)足が外れたのが見えた。いちかばちか、セーフと叫んで目で訴えた。奇跡と思う」と言った。幸運だっただけではない。ミスを誘う、準備と観察眼もあった。内野ゴロなら二塁封殺がある場面。中川が深く守るのを見た佐藤が一塁走者の渡部に「けん制はない。第2リードを大きく取れ」と助言した。さらに渡部は若山が打った瞬間にスタート。泉口は二塁を諦め、一塁へ投げざるを得なくなった。

 センバツは初戦敗戦。好機で一本が出ない反省から、7球交代だった打撃練習を、集中力を高めるために球数が減る「1打席」交代に変えた。背番号2桁の選手は、ただでさえレギュラー組の半分しか時間がもらえない。一打一打が大切だ。「日頃の練習が生きた」と馬目は言った。

 「春の王者を倒す」と掲げた日から、約4カ月。夢は正夢となった。佐々木順一朗監督は「終わったと思っていたのに。たくましすぎる」と目を細めた。

 佐藤の兄・世那(現オリックス)がエースだった準優勝から2年。東北初の大旗へ、完全に弾みはついた。 (松井 いつき)

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2017年8月20日のニュース