阪神・糸井の速攻 菅野止めた 狙い球スライダー投げさせた積極姿勢

[ 2017年5月10日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神4―2巨人 ( 2017年5月9日    東京ドーム )

<巨・神>初回1死三塁、糸井は菅野から右前適時打を放つ
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 好調の首位阪神が9日、52年ぶりの4試合連続完封を狙った巨人・菅野智之投手(27)をも打ち崩した。初回、糸井嘉男外野手(35)の先制打などでいきなりの2点。3回には福留孝介外野手(40)の2ランで突き放した。6連勝でリーグ最速の20勝到達。敗れた2位・広島に2ゲーム差をつけた。

 初球、直球をファウルした。2球目も直球をファウル。糸井の積極姿勢が、「真っすぐに張っている」という菅野の強い警戒を誘った。3球目、指先から放たれたのはスライダー。膝元に食い込んでくる球を、背番号7が鮮やかに振り抜いた。

 菅野、快挙なるか――。プロ野球ファンの注目は、その一点に集まっていた。初回1死三塁。右前適時打で「1」をスコアボードに刻んだ。「数少ないチャンスだと思っていた。3連続完封しているので、点を取ろうとみんなで話していた」。その瞬間、大部分がため息に包まれた東京ドーム。糸井は一塁上に、満足げな表情で立った。

 パ・リーグ2球団で13年戦い、FAで新加入した35歳。球団スコアラーから受け取ったセ・リーグの投手映像の中でビビッときたのが、他でもない菅野のものだった。「スライダーやばいな」と周囲に漏らし、キャンプから同僚に菅野の球威や印象を聞いて回った。

 菅野の宝刀、スライダー対策も万全だった。試合前練習では日によって打撃投手に要求する変化球を変える。「そんなん気分や」と多くは語らないが、この日は右投手のスライダーを求め、打ち返した。徹底した準備と、2ストライク後の打率・275がリーグ3位という対応力が、巨岩をうがつ一打を生んだ。

 リーグ単独トップに立つ26打点目で、チームは今季の巨人戦で開幕から4試合連続の初回得点。2死一、三塁から同じ35歳の鳥谷にも左前適時打が生まれた。3回には1死一塁から「後ろにつないでいこうと思って打席に入った」という40歳の4番・福留が右翼席へ4号2ラン。長丁場のシーズン中には時折、感覚を理由にバットを変更することがあり、初回の三振を受けて2打席目は後輩の荒木からバットを借りて打席に入っていた。

 ベテラン3人で全4打点。糸井と福留は過去の対菅野の打率がそれぞれ・571、・395だった実績通りの活躍で、金本監督は「相手が菅野になると打てる打者は限られてくる。期待している3人が打点を挙げてくれた」と称えた。今季、糸井が打点0だとチームは8勝7敗。打点を挙げると12勝4敗だ。20勝一番乗りで貯金9。指揮官は「今はとにかく貯金を増やせるように頑張りたい」と先を見据えた。

 ≪31試合目は2番目に早い記録≫阪神が6連勝でセ最速の20勝。阪神の20勝リーグ一番乗りは14年以来9度目になる。過去8度のシーズン最終順位は優勝2度(85、03年)、2位4度(57、70、08、14年)、4位2度(74、04年)となっている。なお、今季の阪神は31試合目での到達。チーム31試合目での20勝は2リーグ制後では、08年29試合目に次ぎ、56年と並ぶ2番目に早い記録だ(1リーグ時代は30試合未満が5度)。

 ≪阪神移籍後22打席目の巨人戦初打点≫糸井(神)が初回に決勝となる先制の適時安打。巨人戦は前日まで19打数4安打(打率・211)で打点0。阪神移籍後22打席目の初打点が貴重なV打になった。

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