【石井一久クロスファイア】息抜きも必要だけど…趣味のケガ予防も契約のうち

[ 2017年5月10日 10:30 ]

 ジャイアンツの絶対エースであるマディソン・バムガーナー投手(27)が先月下旬に、デンバーの山中で趣味であるオフロードバイクに興じていたところ転倒し、左肩関節捻挫で前半戦の登板が絶望になった。事情は少し違うが、昨年9月にはマーリンズのエース右腕フェルナンデス投手がボート事故で命を落とした。シーズン中にグラウンド外の不注意でチームに迷惑を掛けるのは自覚が足りないと言われても仕方ないが、メジャーではたまに聞く話だ。

 ギターの弦で指を傷つけた投手もいたし、僕がメジャー1年目だった02年には、ジャイアンツで中心打者だったジェフ・ケントが開幕前にバイクで転倒し、左手首を骨折。しかもケントは球団には「車の洗車中に転倒した」とうその報告をしていたために、事が大きくなり、そのオフに移籍する引き金となった。

 僕の印象では、メジャーリーガーは多趣味な人が多く、オンとオフをしっかり区別する。それだけメジャーは過密日程だからだ。移動日を除けば、純粋なオフと言えるのは、月に1、2回程度。それは先発投手も同じで、日本とは違い、全試合でベンチ入りする。登板前日にオフが重なったりすると、その日も体を動かすので、休みがなくなってしまう。だから、数少ない休みの日は野球のことを少しでも忘れ、自分の好きなことでリフレッシュしたいと考える。

 球団もその辺の事情は分かっているので、契約を結ぶ際には選手の趣味を調べ、グラウンド外のアクティビティーに関して、禁止条項を盛り込む。労使協約でも具体的に明記されており、スキー、スカイダイビング、モーターレース参戦などは、球団の許可がなければ、原則禁止されている。今回のバムガーナーも契約違反に当たるようだが、それ以上にエースの長期離脱は、ここまで地区最下位に沈むチームに暗い影を落としている。

 オンとオフの切り替えは、メジャーで成功する要因の一つ。でも、節度を守らないと…。ちなみに、僕は休みの日はロサンゼルスのポカポカ陽気に誘われて、いつも家でウトウトしていました。(スポニチ本紙評論家)

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2017年5月10日のニュース