高山弾で今季本拠初G倒 13度目猛打賞は長嶋さん新人最多にあと1

[ 2016年9月20日 05:55 ]

<神・巨>初回2死、高山は中越えに先制ソロを放つ

セ・リーグ 阪神4―1巨人

(9月19日 甲子園)
 やっとやっと勝った…。阪神は19日、甲子園での巨人戦で今季11戦目にして初勝利をあげた。高山俊外野手(23)が決勝打となる先制の7号ソロ本塁打を含む3安打の活躍で勝利を呼んだ。金本監督も「まあやっと」とシーズンも終了間近での宿敵打破に苦笑しつつも若手の活躍を称賛。チームは、この日、試合がなかった中日と並び同率5位となった。

 試合開始前に雨がやんだとはいえ、高い不快指数を示していた甲子園。虎党のモヤモヤなど全ては勝利で吹き飛ばすしかない。4万6415人が見つめる中で、勝利への号砲を放ったのは、黄金新人の高山だった。初回2死、巨人・高木の初球真ん中直球を完璧に捉えた打球は、乾いた打球音を残しバックスクリーンへと吸い込まれた。

 「いい感触で捉えられました。1球目からしっかりスイングできる準備ができていたことがよかったと思います。ファンの大きな歓声が、すごく気持ちよかった。(巨人に甲子園で)勝てていないのは分かっていた。本当によかったと思います」

 大歓声と拍手を一身に浴びながら、ダイヤモンドを軽快に一周する先制の7号ソロは雪辱の一打でもあった。高木に対し試合前まで8打数無安打で6三振。「相性は良くない」と自認する相手だからこそ、これまでの打ち取られ方を頭で整理し対峙(たいじ)した。

 甲子園でのバックスクリーン弾で思い出すのは、日大三高3年夏の甲子園大会決勝・光星学院(現八戸学院光星)戦。3回に放った先制の3ランはこの日と同じ決勝弾となった。巨人戦初アーチでセ・リーグ5球団から本塁打を記録。球団新人では80年岡田彰布以来で、球団新人外野手の7本塁打は72年望月充に並ぶ最多記録となった。

 3回無死から左前にポトリと落ちる安打を放つと、8回2死では田原誠から痛烈な右前打。今季13度目の猛打賞を記録し58年に長嶋茂雄(巨人)が記録したセ・リーグ新人最多14度に、あと1に迫った。「1本出ても、2本目、3本目が出ない試合が続いていたので、それが出たのはよかった」と6試合ぶりの複数安打に表情を緩ませた。今季の安打数も131まで伸ばし、坪井が持つ球団新人最多安打135に、あと4本。6試合を残しており、更新もさらに現実味を帯びてきた。

 新人王を争うDeNA・今永もこの日の広島戦で8勝目をマーク。「同じ1年目で刺激になる」と話す相手だが、大学4年になる直前の3月に大学日本代表の選考合宿で顔を合わせ共にプレー。互いに認め合うからこそ、プロ入り後も連絡を取り合っているという。それでも勝負の世界。お立ち台に上がった高山は「狙えるものは狙っていきたい」と堂々と宣言した。幾多の新人記録が眼前に迫る中、野球人生で一度しか味わえないルーキーシーズンを全力で走り抜く。(巻木 周平)

 ≪猛打賞13度目≫新人の高山(神)が本塁打を含む3安打猛打賞。今季の安打数を131とし、チームの新人では1リーグ時代の48年に後藤次男がマークした129安打を抜いて単独2位となった。セ・リーグ新人では99年福留(中)に並ぶ6位タイ。猛打賞は13度目で、58年長嶋(巨)が持つセ新人最多の14度に王手をかけた。

 ≪5球団から本塁打は80年岡田以来≫高山はセの5球団から本塁打を放ったが、チーム新人では80年岡田彰布以来になる。阪神新人の184塁打は、こちらも80年岡田の182塁打を抜いてトップ。新人の7本塁打は球団6位タイで、外野手としては72年望月充に並び最多となった。

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