ラミDeNA 初CSゲッツ 我慢の選手起用、前向き言葉で選手鼓舞

[ 2016年9月20日 05:35 ]

<D・広>ウイニングボールを左手に声援に応えるDeNA・ラミレス監督

セ・リーグ DeNA3―1広島

(9月19日 横浜)
 歴史の扉を開いた。DeNAは19日、広島を3―1で下し3位以上を確定させ、初のクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。就任1年目のアレックス・ラミレス監督(41)が開幕当初の最下位からチームを引き上げ、07年創設のCSで12球団唯一出場がなかった歴史にピリオドを打った。優勝した広島、巨人に続き、これでセ・リーグCS進出チームが出そろい、DeNAは10月8日に開幕のCSファーストステージで巨人と対戦する。

 守護神・山崎康から受け取ったウイニングボール。ラミレス監督はベンチに帰ってくる選手たちと右手でハイタッチをしながら、左手で大事に握り続けた。初のCS進出を決めた証であるボールは「宝物」。雨の中、この瞬間を待ち続けたハマスタのファンへ向かって声を上げた。
 「選手たちが自分を信じて諦めることなく、下を向くことなく、プレーし続けてくれた。ファンの皆さんには長い間待ってもらい、ホームでCSを決めることができて本当にうれしい。オメデトウゴザイマース!」

 シーズン序盤のどん底からはい上がった。開幕から低迷し、5月中旬までの定位置は最下位だった。借金は最大11まで膨らんだ。それでもグラウンドで落ち込む姿は見せなかった。選手との固い約束があったからだ。

 3月25日の広島との開幕戦前、選手にこう語りかけた。「勝ち負けはコントロールできない。みんなには顔を下げることなく、常に顔を上げ続けて、ベストを尽くしてプレーしてほしい」。口癖は「Tomorrow is another day(明日はまた新しい一日)」。筒香は「監督が常に前向きな言葉をかけてくれたからこそ自分たちを信じることができた」という。いつも明るく選手を鼓舞してきた。

 01年に来日し、3球団でプレーした。理想の監督としてはヤクルトの若松勉元監督、巨人の原辰徳前監督を挙げる。現役時代、不振でも信じて起用し続けてくれたのが若松監督。この日は8月に30打席無安打でもスタメンから一度も外さなかったロペスが連日の決勝弾を放った。大一番で我慢が実った。原監督からは選手起用を学んだ。この日はドラフト1位・今永が7回途中1失点と好投し、8勝目をマーク。新戦力を発掘し、桑原、倉本、新人捕手の戸柱ら野手陣も成長。チームを立て直してCS争いに加わった。

 4位・ヤクルトに1・5ゲーム差の3位で迎えた勝負の9月。1日の広島戦での全体ミーティング後、先発野手8人を呼んだ。「ここから20試合が正念場だ。このメンバーで残りを戦っていくことに決めた。チームの代表という責任感を持って戦ってくれ」。呼ばれなかった選手の反発を覚悟した上で、チームの代表としての覚悟を植え付けた。9月はここまで10勝6敗で10年連続Bクラスにピリオドを打った。

 ラミレス監督は「今は家族の一員のような気持ち」と胸を張った。戦いはまだ続く。残りシーズンでの目標を「ホームでCSを戦うこと」と定めた。2位・巨人と2・5ゲーム差。可能性がある限り、一丸となって最後まで戦い抜く。(中村 文香)

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