阪神・岩貞 一本立ち8勝 規定投球回を初めてクリア

[ 2016年9月20日 05:30 ]

<神・巨>初回2死、坂本(手前)を中飛に打ち取る岩貞

セ・リーグ 阪神4―1巨人

(9月19日 甲子園)
 プロ入り初の「勲章」にも、阪神・岩貞は達成感を口にしなかった。6回無死一塁で長野を投ゴロ併殺に仕留め、この日の投球回が5回2/3となり規定投球回に到達した。

 「自力で(先発ローテーションを)回ったというよりは、良くない時もチャンスをいただいて、達成した気持ちの方が強いですね」

 ゴールでなく通過点と自覚するからこそ、中盤以降も気を緩めることはなかった。「立ち上がりをうまくいけた」と8回1失点。5月27日の今季初対戦(東京ドーム)でプロ初完封勝利を飾るなど敵地での巨人2試合で16イニング投げ1失点。舞台は変わっても「新巨人キラー」の称号に偽りはなく、甲子園での不名誉なG戦連敗を9で止めた。

 3年目の今季は初めてシーズンを通してローテーションを守った。昨年までは先発の谷間でスポット起用されることがほとんどで2勝止まり。昨季終了後には「来年は1軍で1年間戦力として貢献する」と目標を口にした。そのため、慣れ親しんだ先発へのこだわりを捨てた。オフに参加した台湾でのウインターリーグでは、大会前に自身が希望する起用法を記す書類には「中継ぎ」の欄に丸をつけた。

 「ファームでも中継ぎをやらせてもらって、やりがいも感じていましたし、とにかく1軍で開幕から勝利に貢献することを第一に考えれば、先発どうこうは言ってられないと思ったんです。そういう意味で台湾では中継ぎでも起用してもらえるように、書きました」

 春季キャンプでは気迫あふれる球を連日ブルペンで披露し金本監督の目に留まった。今季初先発した4月2日DeNA戦の試合直前、監督室に呼ばれ「打たれても、もう1回チャンスやるから、遊んでこい」と背中を押された。胸にしまい、支えになった言葉だった。

 「あの言葉は本当に自分の中で大きかった。監督の気持ちに結果で応えたいという思いで、ずっとやってきたので」

 シーズン中盤に、不調に陥りながら、必死に盛り返して白星は2完封を含む8勝、防御率も3・158でメッセンジャー(3・164)をわずかに上回ってチームトップに立った。期待の若虎の1人だった超変革の申し子は、投手陣の中心にまで成長を遂げた。

 「長くイニングを投げれば、チーム、自分にとってプラスになる。今後もそこを意識してやっていきたい」

 25日の中日戦(ナゴヤドーム)がシーズン最終先発となる見込み。最後まで全力で腕を振る。 (遠藤 礼)

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