上原 11球で圧巻火消し!リーグ優勝決定Sに王手

[ 2013年10月7日 06:00 ]

レイズ戦の9回を締め、2本塁打のオルティスに抱きかかえられるレッドソックス・上原

ア・リーグ地区シリーズ第2戦 レッドソックス7―4レイズ

(10月5日 ボストン)
 全11球ストライクで、圧巻の火消し。レッドソックスの上原浩治投手(38)が5日(日本時間6日)、レイズとの第2戦に7―4の9回から4番手で登板。1回を3者凡退、2三振と完璧な内容で、日米通じてポストシーズン自身初セーブを挙げた。日本選手のポストシーズンでのセーブは佐々木主浩(マリナーズ)以来、史上2人目。チームは2連勝でリーグ優勝決定シリーズ進出にあと1勝とした。

 無駄な球は一球もいらない。7―4の9回。総立ちのファンが「コージ」コールを連呼する中、上原は相手に考える隙を与えずに次々とストライクを投げ込んだ。「いつも苦労する」と話す先頭の巧打者ジョイスを2球で追い込み、3球目の直球で空振り三振。次打者のロバトンも3球三振に仕留める。そして最後はマイヤーズを一ゴロに打ち取り、一塁手ナポリからウイニングボールを譲ってもらった。

 「勝って良かった。タズ(田沢)が流れを断ち切ってくれて、(打線が)8回に1点を取ってくれたのは大きかった」

 今ポストシーズン初登板。紅白戦で調整登板したとはいえ、9月29日から実質中5日でのマウンド。実戦感覚が懸念されたが、「いつも通り。自分の世界に入っている」と心配無用だった。投げた11球全てがストライク。地元ラジオ局WEEIによると、ポストシーズンの試合で10球以上投げた投手でボール球が一球もなしというのは史上初の快挙だという。

 この日に配布された球団誌の表紙を飾るなど、絶対的な守護神として君臨した上原の登板を地元では今、「Koji Time(上原の時間)」と表現する。名前が呼ばれマウンドに来るまでファンは総立ちで手拍子をつけてお出迎え。必ず勝利に結びつく特別な時間という意味も持ち、主力ペドロイアも「守っていてすごく落ち着けるイニング。必ず勝つしね」と目を細めた。上原が「8回途中からとも言われましたから」と話したように、一戦必勝のポストシーズンでは首脳陣は最大2イニングを任せる方針も確認済みだ。

 ポストシーズンに初出場したレンジャーズ時代の11年はプレーオフ3試合で3本塁打を浴び、ワールドシリーズの出場登録を外された苦い思い出もある。だが、上原が重圧に押しつぶされることはもうない。「過去のことは忘れた。あしたを見た方がいい」。地区シリーズ突破まであと1勝。それでも表情一つ変えない。「(王手は)かけただけで別に決まったわけじゃない。決まってから喜びたい」。冷静かつ慎重。上原の心は一糸乱れずだ。

 ▼ジョン・ファレル監督 上原の活躍についてはもう絶賛を尽くして、なかなか新しい表現が浮かばないほどだ。

 ▼ロス マスクをかぶっていて、上原の登板は凄く楽しかった。直球はコースにきっちり来るし、スプリットは消える。

 ≪大魔神以来の日本人PSセーブ≫日本選手のポストシーズンでの最後のセーブはマリナーズの佐々木主浩が、01年10月15日のインディアンスとの地区シリーズ第5戦で挙げて以来、12年ぶり。レッドソックスがポストシーズンの各シリーズで2連勝でスタートした場合、過去8回中7回(88%)は突破。2連勝から敗退は1986年のメッツとのワールドシリーズのみ。

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2013年10月7日のニュース