松井氏が監督修行第一歩 ヤンキース傘下1Aで打撃投手

[ 2013年7月7日 06:00 ]

05年「ジャパニーズ祭り」で、スタテンアイ ランド・ヤンキースのユニホームを着て始球 式を行う松井氏

 ヤンキースは5日(日本時間6日)、昨季限りで現役を引退した松井秀喜氏(39)が傘下1Aスタテンアイランドの練習に参加し、打撃投手を務めると発表した。6日(同7日)と8、9日(同9、10日)の計3日間、ナイター前の打撃練習で投げる。打撃投手だけではなく、選手への指導も行うとみられる。将来的な指導者就任へ意欲を示し、古巣のヤ軍や巨人からラブコールを送られている松井氏が、監督修業の第一歩をニューヨークで踏みだす。

 マンハッタンからフェリーで約25分の距離にある島で、ニューヨーク州内ののどかな観光地として知られるスタテンアイランド。05年7月に「ジャパニーズ祭り」のゲストとして始球式に訪れたこの地で、松井氏が第二の野球人生への助走を始める。メジャー昇格を夢見る「金の卵」の1A選手を相手に3日間、打撃投手を務めるのだ。

 ヤンキースタジアムで引退セレモニーが行われる28日(日本時間29日)のレイズ戦を前にしたサプライズ。米球界では、専門職としての打撃投手は存在せず、コーチや監督が務める。ダルビッシュの所属するレンジャーズでも、ロン・ワシントン監督が日課としており、指導者としての仕事の一つだ。球団発表では打撃投手を務めること以外の説明はなかったが、地元メディアは「3日間も務めるのは何らかの意味がある。ノッカーやコーチの手伝いもするのではないか」と見通しを語った。

 松井氏は5月5日、東京ドームで国民栄誉賞授与式と引退セレモニーに出席した際、指導者就任について「とにかく、そこを目指して頑張りたいと思います」と語った。米国ではマイナーから経験を積むのが主流。現在のスタテンアイランドは選手が19歳~20代前半で、33歳のジャスティン・ポープ監督をはじめ首脳陣の大半は松井氏よりも年下だ。指導者としての第一歩をしるすには、うってつけの環境といえる。

 次期監督としてのラブコールを送っている巨人だけでなく、ヤ軍も松井氏の野球への真摯(しんし)な姿勢や、誠実な人柄を高く評価。指導者としての適性を買っており、今春のキャンプには臨時コーチとしてのオファーを出した。この時は第1子の誕生を間近に控えていたため「松井コーチ」は実現しなかったが、ブライアン・キャッシュマンGMは再びヤ軍のユニホームに袖を通すことについて「いつだってウエルカムだよ」と語っている。

 今回は3日間限定だが、マンハッタンに自宅を構える松井氏にとって、スタテンアイランドは車でも1時間以内という通勤圏内である。来年には先月6日にヤ軍からドラフト2巡目で指名され、現在ルーキーリーグに所属する加藤豪将(ごうすけ)内野手(18)が同チームでプレーする可能性が高い。もし、松井氏がヤ軍傘下で指導者の道をスタートさせれば、大リーグの名門球団で日本人師弟コンビが誕生することになる。

 ▽ヤンキースの組織 メジャーの「ニューヨーク・ヤンキース」を頂点に、5つのカテゴリーに全10チームが属する。ピラミッド状の組織で、1Aはレベルの異なる3チームに分かれている。メジャー契約を結ぶことができる選手は40人(60日間の故障者リスト入りしている選手を除く)だけで、ベンチ入りは25人。常時約300人の選手がおり、メジャー昇格を争っている。

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2013年7月7日のニュース