捕手・城島 座ったまま“バズーカ”披露も「激痛っス」

[ 2012年9月30日 06:00 ]

<ウエスタン 神・オ>初回終了後の試合中に、晴れ晴れとした表情で胴上げされる阪神・城島

 今季限りで引退する阪神の城島健司捕手(36)が29日、引退試合として兵庫県西宮市の鳴尾浜球場で行われたウエスタン・リーグ最終戦のオリックス戦に「3番・捕手」で先発出場した。1年ぶりにマスクをかぶり、プロ最終打席では中前適時打。右肘痛を抱えながら初回の投球練習では座ったままでの二塁送球も披露した。最後はチームメートに胴上げされ、「生涯一捕手」を貫いた18年間のプロ野球人生にピリオドを打った。

 慣れ親しんだ定位置に座るのも、これが最後。初回の投球練習で、城島はホームベースをそっと触る、いつもの「儀式」を終えると、いきなり球場を沸かせた。「(捕手としての)血が騒いだ」と、「城島バズーカ」と呼ばれた得意の座ったままでの二塁送球を披露。ノーバウンドで届いた。

 「投げた結果、激痛っス。これじゃ(趣味の)釣り竿も持てない。向こう1年はボールを持ちたくない」。体はボロボロ。それでも、引退の原因となった右肘痛を押して、自分のスタイルを貫いた。

 公式戦でマスクをかぶるのは昨年6月5日のオリックス戦(甲子園)以来。最後の雄姿を見届けようと、2軍戦では異例の1717人の観衆が集まった。和田監督もベンチ裏から見守った。バッテリーを組んだのは、10年にプロ初完封勝利に導いた21歳の秋山。2死から由田を空振り三振。ワンバウンドのフォークを体で受け止めた。「この景色が自分がやってきた景色だなとあらためて思った。自分はここで戦ってきたんだなと…」。最後の10球をミットでかみしめた。

 その裏。プロ最終打席は無死一、二塁から中前適時打。「プロ初安打も中前だった。ほとんど引っ張りだったのに、辞める時になって素直になれた」。直後に代走を送られて交代すると、長男・優太君(11)、長女・美羽ちゃん(8)、次男・慶太君(6)の3人の子供たちから花束を贈られて号泣した。ベンチに戻ると、藤川が音頭を取って予定にはなかった胴上げが行われ、7回宙に舞った。

 「野球人として悔いのない準備とプレーを続けてきた。胸を張ってユニホームを脱ぎます」。数々の栄光と挫折を味わってきた城島がマスクを脱いだ。

続きを表示

この記事のフォト

2012年9月30日のニュース