福井出身の天谷 地元、両親の前で先制適時打

[ 2011年6月30日 06:00 ]

セ・リーグ 広島2-1阪神

(6月29日 福井)
 降り注ぐ歓声が温かかった。両軍無得点で迎えた2回1死二塁。7番左翼でスタメン出場した広島の天谷が阪神先発・鶴をとらえる。初球スライダーをコンパクトに振り抜くと打球は中前へと抜ける先制適時打となった。

 「みんながつないでくれたチャンスで打てて良かった」。福井で生まれ育ち、福井商からプロ入りした男が懐かしい空気のもとで躍動した。

 愛する家族に捧げる一打だった。一塁側スタンドでは福井県鯖江市在住の両親が観戦。この日、57歳の誕生日を迎えた父・鉄雄さん、母・佳恵さん(55)をはじめ、親戚、友人約40人が大声援を送った。5月のゴールデンウイークに広島を訪れた佳恵さんに、天谷は少し早い母の日のプレゼントとして、バラのドライフラワーとディナーをプレゼントしていた。

 「(プレゼントは)入団した年以来で、嬉しかったです。宗一郎には一日でも長く野球をやっていて欲しい。グラウンドで笑っている姿を見たいですから」と佳恵さん。前日28日の夜には「明日は家で夕食を食べるから…」と連絡があった。母親思いの男は「活躍」という形で少しだけ、恩返しを果たした。

 来日初の中4日先発となったバリントンは3回まで常に回の先頭を出塁させたが、持ち味のテンポのいい投球で無失点のまま回を重ねた。「先発で投げる以上、長い回を投げてチームに勝ちをつけるのが仕事だ」。7回に1点は失ったが、確実にゲームをつくった。

続きを表示

2011年6月30日のニュース