マー君、復活9勝!「投げられるのがうれしかった」

[ 2010年8月2日 06:00 ]

試合後、子どもたちとタッチする田中

 【楽天3-2オリックス】夏男が帰ってきた。右大腿二頭筋挫傷で戦線離脱していた楽天・田中将大投手(21)が1日、オリックス戦で復活登板。7回途中2失点で降板したが、堂々の9勝目をマークした。入団1年目の07年8月31日・西武戦(Kスタ宮城)以来、8月は自身6連勝。暑い季節が大好きな右腕が連敗中のチームを救うとともに、後半戦の巻き返しへ大きな弾みをつけた。

【試合結果


 険しい顔つきで首を振った。投げたのはフォークボールだった。6回2死一塁、2ストライク2ボール。田中の気持ちが込められたボールに、T―岡田のバットは空を切った。チームが7本塁打を浴びていた天敵をねじ伏せた意味の大きさは、雄叫びになって表れた。
 右大腿二頭筋の軽い肉離れから33日ぶりの復帰登板は7回途中2失点。6月6日の巨人戦(東京ドーム)以来56日ぶりの9勝目に「自分が投げて試合に勝ってよかった。投げられるのがうれしかった。ケガする前も3連敗したりしてモヤモヤしていたけど、きょうは最初から試合に入れた。フレッシュな気持ちで投げられましたよ」。立ち上がりは初回の無死二塁、2回も無死満塁のピンチを背負った。しかし、ともに1死を取ってから連続三振で危機を脱した。
 万全の状態での復帰は、もう少し先にずれ込むはずだった。故障の回復を促すコラーゲンのサプリメントを食事に混ぜて摂取するなど懸命なリハビリ。だが、いまだに長い距離の全力ダッシュはできていない。右足の故障前から疲労が蓄積していた右肩も、7月30日のブルペン入りの翌日にわずかに張った。それでもチームは対オリックス8連敗など、借金が今季ワーストの11と膨らんで下降線の一途。「自分は何をしているんだろうというもどかしい思いがあった」。不安を残しながらも終盤の巻き返しへギリギリのタイミングで、強行復帰を決心した。
 その大事なマウンド。6回の雄叫びだけではない。7回に1点を失ってなお無死二塁の場面での降板には納得できない表情も隠さなかった。勇気を持って立ち向かう。自分を信じる。まだあきらめない。言葉ではない。2年連続CS進出や上位浮上にかける強い気持ちをチーム、ファンに背中で送った。若きエースの圧倒的な存在感。ブラウン監督は「彼の闘争心は凄い。若いながら頑固な勝負心を持っている」と表した。
 これで8月は1年目から6連勝。「これが何かのきっかけになってくれればいい。残り試合もあるのでこれからしっかり貢献したい」。田中がマウンドで伝えたかったのは高校球児のような、最後まであきらめない気持ちだった。

 ≪Kスタ宮城で通算29勝目≫田中(楽)が6月6日巨人戦以来の白星で今季9勝目。8月の通算成績は11試合に登板して7勝1敗(勝率・875)。入団1年目の07年8月31日西武戦からは6連勝となった。田中の月間成績(4~9月)をみると8月の通算勝率は5月の・714(10勝4敗)を上回り最高と夏場に強い。なお、Kスタ宮城では通算29勝目。区切りの30勝まであと1勝に迫った。

 ◆楽天・田中の過去の故障からの復帰登板アラカルト
 ☆北京五輪出場へ球宴で復活 08年7月19日のソフトバンク戦(Kスタ宮城)で7回3失点した後、右肩痛を発症。「右肩の軽度の腱板損傷と軽度の関節唇の炎症」で1週間投球禁止となり同23日、出場選手登録抹消された。8月1日の球宴第2戦(横浜)で復帰登板。152キロをマークし1回1安打無失点。日本代表入りが正式決定した。
 ☆復帰戦で無傷の5連勝 09年はプロ野球16年ぶりの開幕から2完封を含む4試合連続完投勝利。だが4月30日、右肩に強い張りを訴えて出場選手登録抹消。14日ぶりの復帰登板となった5月13日の日本ハム戦(Kスタ宮城)で7回8安打3失点で開幕から5連勝を決め、チームも首位に浮上。

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2010年8月2日のニュース