泣けちゃう…稲葉主将万感4人目胴上げ

[ 2009年10月7日 06:00 ]

<日・西>4回1死一塁、左越え2ランを放った金子誠を出迎える稲葉篤紀ら日本ハムナイン

 【日本ハム5―4西武】まだ泣くわけにはいかない。胴上げを終えると、稲葉は誰彼構わず抱き合った。試合中は何度も涙をこらえた。そこにあるのは、重責を果たした男の安どの表情だった。

 「やっと、なんかこう…。本当に肩の荷が下りました。何回も優勝してるけど、一番きつかったし一番ホッとしてる優勝です」。日本ハムを移籍して3度目のリーグ制覇。ヤクルト時代を含めれば計6度の優勝。しかし、今回の優勝の味は格別だった。昨年末に梨田監督から掛かってきた1本の電話。「主将を引き受けてくれ」。中京(現中京大中京)3年以来、19年ぶりの大役に武者震いした。主将としての責任感の強さが時に自らを追い込み、不振に陥った。知人からは「目が死んでるぞ」と言われたこともあった。10月の5試合も20打数3安打。最後まで苦しんだ。
 気遣いの男でもある。今年3月、WBC連覇を決めた直後の祝勝会。シャンパンファイトを終え、選手が次々と会場から出ていく中で1人、床に落ちている無数のシャンパンの栓を拾った。「これからシーズンがあるからね。ここで誰かがこれを踏んでケガをしたら大変だから…」。目配り、気配り。絶不調だったイチローにも率先して声を掛けた。白い歯が似合うナイスガイ。だからこそ誰もが慕う。
 「今まで自分が仕えた野村監督、若松監督、ヒルマン監督と全員を胴上げしてきた。僕には梨田監督を胴上げする義務があった」と稲葉。5月3日の西武戦ではサヨナラ本塁打を放ち、お立ち台で涙した。その後のチームを上昇カーブに導いた一発を、指揮官は「稲葉の涙って、こんなに力があるんだ」と表現した。「まだ頂点が残ってる。その時に思い切り涙を流したい」。日本一。男泣きをする準備は、もうできている。

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2009年10月7日のニュース