楽天5連勝!鉄平9回プロ初満塁弾で大逆転!

[ 2009年9月12日 06:00 ]

<ソ・楽>9回2死満塁、鉄平の満塁本塁打でガッツポーズを見せる田中将大ら

 【楽天7―4ソフトバンク】楽天が11日のソフトバンク戦で大逆転劇で5連勝を飾った。先発・田中将大投手(20)が10安打を浴び8回3失点の苦しい展開となったが、9回に同点に追いつくと、2死満塁から鉄平外野手(26)がグランドスラム。土壇場で打者10人、6安打で一挙6得点。4位西武も勝ったため、クライマックスシリーズ(CS)進出マジック点灯はまたも持ち越しとなったが、この勢いは本物だ。

 その瞬間、顔を伏せ気味だったマー君が三塁ベンチで跳び上がった。9回に2点差を追いつき、なおも満塁。そこで鉄平が右中間へグランドスラム。敗戦投手目前から一転、勝利投手となった田中は万歳を繰り返した。
 プロ初満塁弾。ド派手な仕事をやってのけた鉄平は「完ぺき。打った瞬間に入ると思った」。ボールが先行し、カウント1―3。「7対3か、8対2で真っすぐ」。そう読んでいたところに、ソフトバンクの守護神・馬原の149キロの直球が内角寄りに来た。リーグ首位打者のバットが、その1球を見逃すわけはなかった。
 ただ、その鉄平さえも奇跡の逆転劇が信じられない。「何かつながりますよね。もう打席がないなと思っても回ってくる。最後は回ってくるなら同点以上の場面。究極は同点の2死満塁で回ってくると思っていた。ホームランは想定外ですけど…。それにしても、よく勝てたというのが正直な感想」と振り返った。
 猛攻の始まりはセギノールと草野の連打だった。続く小坂のバントが敵失を誘って1点差。2死後に渡辺直の左前打で同点。さらに高須が右前打と単打4本でじりじりと追い詰め、鉄平に打席が回った。
 その鉄平は7月にはKスタ宮城で行われていた夏の甲子園出場を懸けた宮城県大会を観戦。高校時代のひたむきさを思い出すための観戦に、顔パスで入れる本拠地にわざわざ入場券を購入してスタンドに座った。“最後まであきらめない”球児の気持ちが乗り移ったかのような一撃だった。
 一方の野村監督は渡辺直が2―1と追い込まれた瞬間、1度は「あかん、ダメや」とベンチで声を出して天を仰いだ。だが、ナインたちの底力は想像以上だった。さらに鉄平の場面を振り返り、「カウント1―3で、橋上(ヘッドコーチ)から“待たせますか?”と言われて迷った。同点だからイケイケ。24年もやっててこんな常識分からなかった。まだヘボ監督の域を脱していない」と苦笑した。
 CS進出に向けてその勢いを十分に見せつけた1勝。指揮官は敵将の胸中を思いやり「野球って怖いね。勝ったと思ったときが一番危ないんだよな」。だから、笑顔は抑えめ。心から喜ぶのはCS進出を決めてからだ。

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2009年9月12日のニュース