仁志引退決意…横浜に“今季限り”申し出た

[ 2009年4月22日 06:00 ]

横浜に今季限りでの引退を申し出たことが分かった仁志敏久

 横浜の仁志敏久内野手(37)が21日、球団に今季限りでの引退を申し出たことが分かった。プロ14年目の今季は打撃不振に苦しみ、この日、故障以外では約3年ぶりとなる2軍落ちとなっていた。心身共に限界を感じたことが理由とみられるが、開幕直後のこの時期でのベテランの決断でチームに激震が走るのは必至。球団は今後、来季以降も必要な戦力として全力で慰留に努める方針だ。

【仁志敏久


06年11月6日 「もうそういう時代じゃない」仁志敏久、志願のトレード

07年4月22日 仁志で始まり金城で締めた!横浜46年ぶりの快記録!

 突然の決断だった。出場選手登録を抹消されたこの日、仁志の姿は2軍が練習する横須賀になかった。午前中、横浜市内の球団事務所を訪れて球団幹部と会談。今季限りで引退する意向を伝えていた。
 「まだまだ若手にも技術は負けていない。横浜が上位に進出するために戦力として欠かせない」。来季以降も現役続行を望む球団幹部から必死で慰留されたが、発言を撤回することはなかった。
 誰よりも高い理想を持つ“求道者”は、最下位に低迷するチームに貢献できない現状にもがき苦しんでいた。プロ14年目の今季は「2番・二塁」で開幕から出場しながら22打席(19打数)連続無安打。打撃不振に悩み、12試合に出場して45打席(37打数)4安打で打率・108、0本塁打。「自分の成績はいいんだよ。チームが勝って生きる選手だから。貢献できていないのがつらい」と漏らすこともあった。とはいえ、故障以外での2軍落ちは巨人時代の06年8月以来約3年ぶり。チームに加えて自身の不振、さらに降格のショックも加わって、4月下旬という異例の時期での引退を決意したとみられる。
 仁志は高い守備センスとパンチ力ある打撃で巨人の中心選手として日本一を3度経験。「若手の手本になる本物のプロフェッショナル」と実力を高く評価した大矢監督の強い希望で07年から横浜に加入以来、攻守の中心選手として引っ張ってきた。昨オフは若返りを図るチームの方針で石井琢(現広島)、鈴木尚(現2軍育成コーチ)と横浜を長年支えた功労者に戦力外通告。佐伯に次ぐ野手最年長となった仁志は今季、卓越した野球理論でチームのまとめ役として期待されたがグラウンドで結果を残せず、石川、藤田、山崎ら若手の台頭もあって開幕して1カ月もたたずに1軍から外れる形となった。
 再昇格を目指して2軍の練習に参加するものの、球団では「気持ちの整理がつくまで」との本人の意思を尊重。現状ではイースタンの試合に出場する予定などは決まっていない。チームへの影響力も大きい仁志だけに、最下位からの浮上を目指すナインに影響を及ぼすのは必至だ。村上チーム運営部門統括は「仁志はチームの宝。代わりになる選手はいない」と話している。仁志を翻意させることができるのか。球団は今後も全力で慰留に努める。

続きを表示

2009年4月22日のニュース