金監督「分からない…」なぜイチローと勝負を…

[ 2009年3月25日 06:00 ]

<韓国・日本>10回、三塁イチローが中前に勝ち越しの2点適時打を放ち、送球の間に二塁へ向かう

 【WBC決勝・韓国3-5日本】試合後。金寅植監督は「分からない」とうわ言のように繰り返し、何度も首をひねった。

 延長10回2死一、三塁でイチローを迎えた。一走の岩村が盗塁を決めて(記録は野選)二、三塁。一塁が空いた。この時点でイチローのカウントは1―1。指揮官はベンチから23歳の控え捕手・カン・ミンホに「際どいコースのボールを投げて、うまくいかなければ歩かせろ」とのサインを送る。しかし、マウンド上の林昌勇は真っ向勝負を挑み、4連続ファウル、ボールの後に中前に運ばれた。

 林昌勇は「サインが正確に分かっていなかった」と言い、その一方で「イチローと勝負したい心もあった」と“本音”とも言える微妙な投手心理を漏らした。その中、金寅植監督は「経験の少ない捕手で、作戦をきちんと理解できなかったのだろう。それより私がもっと大きなしぐさではっきり敬遠を指示しなかったことが問題」と自らの責任を強調した。

 それでも日本と死闘を演じた事実が色あせることはない。かつて大リーグを解雇された、この日の先発・奉重根は言った。「人生最高の一戦だった。アジアの韓国と日本がアメリカを舞台に見事な試合ができたことが意味がある。日韓が世界でもベストの2チームだと思う」。“アジア野球は世界一”との思いを強くにじませた。

 5年前、脳梗塞(こうそく)で倒れた金寅植監督は今も右手右足が不自由。それでも後任監督候補に辞退者が続き、第1回に続き指揮を執った。「若い選手たちが4年後はベテランになる。さらに強いチームになる」。61歳の名将の目に涙はなかった。

 ≪兵役免除の特例は否定≫WBC準優勝による兵役恩恵が浮上していた韓国で国防部スポークスマンが「勝った負けたで論議する案件ではない。既に法整備されている」と否定的見解を示した。07年12月の法改正で兵役免除の特例はアジア1位、五輪3位以上に限定。一方、ハンナラ党議員の大韓野球協会・姜升圭会長は決勝を前に「議員立法を推進したい」と語っていた。現代表で兵役未了者は秋信守ら4人。

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2009年3月25日のニュース