卓球男子団体、2大会連続4強 “一夜漬けコンビ”が勝利呼んだ

[ 2021年8月4日 05:30 ]

東京五輪第12日 卓球 ( 2021年8月3日    東京体育館 )

卓球男子団体準々決勝・スウェーデン戦の1戦目でプレーする丹羽(手前)、張本組(AP)
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 日本男子は準々決勝でスウェーデンに3―1で勝ち、銀メダルを獲得した前回リオ五輪に続く表彰台に王手をかけた。

 倉嶋監督が勝負手を打った。1戦目のダブルスに右の張本、左の丹羽組を緊急投入した。丹羽のレシーブがキレキレで、スウェーデン組の甘い返球を張本が強打。8歳差コンビはよく声も掛け合い、3―1で先勝した。

 「ダブルスで先取点を取れば、シングルスの相性を考えると、今回のオーダーだと戦いやすい。負けたら責任を取るしかない」
 指揮官は戦力を見定めつつ、大胆にカードを切った。2人のペアは19年に3大会に出場したものの、目立った成績を残せず。それでも1年9カ月ぶりに組ませ、前日オーストラリア戦後に決断した。世界的に珍しい左左ペアの水谷・丹羽組が、初戦で特別な強さを見せなかったことが、奇襲の引き金になった。

 禁断の手でもある。エース張本は、シングルス2戦での起用が王道。単複1戦ずつとなると、プライドを傷つけかねない。指揮官は、「ダブルスがあるとなると張本がぶれる」と考え、合宿では誰とも組ませなかった。

 それでも、張本は想定していた。今大会の個人戦は4回戦で敗退し「団体シングルスで圧倒的に2点(2勝)が取れる立ち場ではない」と覚悟した。前日、倉嶋監督に告げられると素直に受け入れた。丹羽と2時間の特訓。コンビ経験がある2人は、一夜漬けで勝てる形をつくった。

 張本は3戦目にシングルスで登場し、1ゲーム目を落としながら逆転勝ち。過去の日本は、水谷の個の力で勝ってきた。しかし、今回はその水谷が2戦目に敗れながら、他の2人の力で難敵を撃破。新しいオーダーを手に入れた指揮官は「これで相手が読みづらくなる」と収穫を口にした。2大会連続のメダル確定まで、あと一つに迫った。

 ≪水谷連勝止まった…≫12年ロンドン五輪から続いた水谷の五輪団体戦の連勝が、11で止まった。スウェーデンのエース、ファルクのパワーに押されて1―3で屈し「もう少しできたところがあった。凡ミスもあった。反省すべき」とうなだれた。それでも敗戦後は青森山田中―高―明大の後輩、丹羽にアドバイス。一日を振り返り「張本と丹羽の2人で3点(3勝)。本当に頼もしい」と年下をねぎらった。

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2021年8月4日のニュース