白鵬「新鮮」105日ぶり1勝 休場明けも強さは健在

[ 2015年11月9日 05:30 ]

栃ノ心(左)を上手投げで下す白鵬

大相撲九州場所初日

(11月8日 福岡国際センター)
 左膝負傷のため9月の秋場所を途中休場した横綱・白鵬(30=宮城野部屋)は小結・栃ノ心(28=春日野部屋)を上手投げで退けた。7月の名古屋場所千秋楽の鶴竜戦以来実に105日ぶりの勝利。09年初場所の朝青龍以来となる横綱の休場明けVに向けて好スタートを切った。

 横綱として初体験の休場明け初日。白鵬は栃ノ心に対して焦ることなく慎重に攻めた。右四つから寄られた場面は先場所負傷した左足で踏ん張って我慢。相手の上手を切ると最後は華麗な上手投げで勝負を決めた。

 「きょうは全部が新鮮。寄られた時に左足一本で残ったのでまずまずかな。これからです」。105日ぶりの勝ち名乗りを受けて支度部屋に戻ると水をグビッと一気飲みし「あ~うまい!」。満足げにつぶやいた一言に白星の喜びがこもった。

 先場所は初日から連敗し横綱昇進後初休場。8年余り看板を張った立場としては、心と体をリセットするにはいい時間だったとも言える。稽古に行く必要もなく「10時間以上寝るのは10代以来」と思うがままに睡眠。10月の巡業前半も休んだが「稽古をしないと欲しがる」と自然と体は土俵に向かった。場所1週間後には稽古場に戻り若い頃のようにてっぽうを1000回打つ日もあった。

 その間、支えとなっていた歌がある。尊敬する歌手・松山千春の「凡庸」。1年前から共感し、何度も聴いて歌った。

 今場所前に福岡で開かれた自身の最多優勝記念パーティーでのこと。「♪言葉にするほど幸せでなく 涙にするほど不幸でもない」。駆けつけた松山が歌った「凡庸」が心に染みて両目が涙で濡れた。「一日でも長く土俵に上がることが恩返しというか常識。悔いを残さないことは自分のためでもある」。どんなに称賛されようが追い込まれようが人は誰しもが凡庸さを持つ。決して無理はせず、今後も長く土俵を務めたい一心で初日に臨んだ。

 この日、福岡の最高気温は26度。「とにかくきょうは暑かった」と嘆きつつ、復活への手応えには「そのつもりですから」と自信たっぷり。白鵬の横綱第2章は快調に幕を開けた。

 ▼北の湖理事長(元横綱) (白鵬の膝の状態は)悪くない。腰がちゃんと沈んでいた。(長い相撲になったのは)慎重というより、勝負にいけなかった感じ。勝っていけば早く勝負にいける。

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