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【コラム】西部謙司

最大の課題はマッチメーク

[ 2015年6月15日 05:30 ]

 イラクとの強化試合は4-0で快勝。いよいよ始まるワールドカップ・アジア2次予選に向けていい準備ができている。

 1トップに岡崎、2列目に本田、香川、宇佐美。さらにボランチに長谷部、柴崎という布陣は明らかに攻撃重視である。2次予選に関しては、いかに点をとるかが焦点なので攻撃的な人選をテストしたのだろう。

  後半には大迫、永井、武藤、原口を投入し、ボランチも守備型の山口と谷口のコンビを起用した。こちらは守備を重視した構成で、アタッカーもスペースがあるときに特徴を発揮できる人選になっていた。2次予選に必要な戦術ではないが、ワールドカップをにらめば堅守速攻のセットも用意しておきたい。

  ハリルホジッチ監督のここまでの3試合をみると、やはりアルジェリアと同じタイプのチームを作ろうとしているように思える。現代サッカーの基本をしっかりと踏まえながら、守備型と攻撃型のどちらにも対応できるチーム作りだ。ただし、同じメンバーでそれをやるのは困難なので、選手の入れ替えが必要になる。アルジェリアでは5人の先発メンバーを入れ替えていた。

 1つのチームを研ぎ澄ませることで強化を図ったザッケローニ前監督とは、まったく違うアプローチのようだ。接戦が基本のW杯の戦い方として、また日本の立場を考えると、理にかなったやり方かもしれない。

  最大の課題はマッチメークだろう。イラク戦は2次予選の準備としては十分だったが、もともと2次予選に不安はないのだ。イラク戦はワールドカップ本大会を見据えた試合としては、まったくもって歯ごたえがなかった。後半途中からの堅守速攻用のセットも、この相手では評価も強化も難しい。

 アジアとワールドカップのレベル差をどうするかは日本の大きな課題だが、監督のアイデアだけでそれを埋めるのは無理である。現実的に強豪国とのマッチメークが困難で、今後さらに困難になると予想される中、マッチメークにもアイデアが要求されている。(西部謙司=スポーツライター)

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