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【コラム】西部謙司

見つからなかった攻撃オプション

[ 2017年10月19日 17:30 ]

ハイチ戦後、インタビュー前にベンチで考え込む日本代表ハリルホジッチ監督
Photo By スポニチ

 ニュージーランド、ハイチとの強化試合では攻撃オプションを見つける目的があったはずなのだが、大きな収穫を得られないままだった。

 日本の基本的な戦い方はいわゆる堅守速攻型である。自分たちがボールを支配するよりも、むしろ相手に持たせてカウンターを狙う。カウンターなのでFWには速い選手が必要。ボールを奪えなければ速攻もできないのでMFには守備力の強い選手が優先される。ただ、堅守速攻だけでサッカーはできない。

 速攻ができないケースは当 然あるし、相手が先制すれば日本にボールを持たせて相手が速攻を狙う展開にもなる。そのときに得点をとる力がないと特定の状況でしか力を発揮できないチームになってしまう。

 カウンターもポゼッションもできるのが理想だが、あいにく現在の日本はそのレベルにはない。ポゼッション寄りの人選をすれば守備力が落ち、カウンター寄りにすればパスワークやコンビネーションが落ちる。日本の軸足は守備なので、1つか2つのポジションの選手を代えて変化を出すことになるだろう。

 3人のMFのうち1人を攻撃力のある選手に代えるというのが考えられるオプションになっている。香川真司、小林祐希、倉田秋がこの1枠としてテストされたが、さほど大きな攻撃力アップにはなっていなかった。 もう1つはウイングにプレーメーカータイプを起用すること。相手に引かれれば縦にスペースはないので、中央へ入ってパスワークやドリブルでの崩しをする選手が必要になる。ところが、こちらは縦に速い選手はいても、ゲームを作れるタイプをそもそも選んでいない。乾貴士と原口元気がやれないこともないという程度だった。あとはセットプレーだが、これもキッカーがいない。これまで常にFKのスペシャリストがいたものだが、中村俊輔や遠藤保仁のようなキッカーがおらず、本田圭佑は選外だった。

 ワールドカップまでに残された時間はあまりない。個が切り札にならないなら、Jリーグで出来上がっているセットを起用する手もある。例えば、川崎フロンターレの小林悠、大島僚太、中村憲剛をセ ットで使うのだ。ただ、これだと交代カード3枚を一気に使う采配にならざるをえないので現実性は薄い。攻撃オプションに関しては、今のところ展望が開けていない。(西部謙司=スポーツライター)

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