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【コラム】西部謙司

ブラジル、ベルギー戦の見どころ

[ 2017年11月9日 06:00 ]

ブラジル戦にむけて調整する日本代表FW杉本(左)と大迫
Photo By スポニチ

 ブラジルとベルギーは、仮にグループリーグで同居すれば最強の相手である。勝ち点3を狙うというより引き分けられれば上出来だ。4年前の同時期にはブリッセルでベルギーを破っているが(3−2)、今回はまた違った展開になるだろう。

 ハリルホジッチ監督の戦術は守備重視。しっかり守って速攻というのが基本的な戦い方になる。まずは世界最強クラスの攻撃に対して、しっかり守れるかどうかがポイントになる。予選のオーストラリア戦(ホーム)での4−3−3がベースになるだろ う。

 ブラジルはスローダウンすると両ウイングのネイマール、コウチーニョが中央へ入ってくる。同時にサイドバックが高い位置まで進出してきて幅をとる。おそらく日本はネイマール、コウチーニョに対してはマークを離さずにマンマークするだろう。日本のウイングはブラジルのサイドバックをマークするために深く戻らなければならない。中央はかなりの渋滞になるので、ブラジル相手といえどもそう簡単にはやられないと思う。

 ただし、これでは日本はほとんどカウンターができない。堅守速攻の速攻がなくなってしまう。日本が攻撃を増強するなら、3人の守備的MFの1人ないしは2人を攻撃型の選手に代える手が1つ。もう1つは4−4−1−1の形にして、ボールより前に2人のアタッカ ーを残す。そうすればカウンターアタックの形にはなるはずだ。

 1トップは大迫勇也で決まりだろうから、もう1人を乾貴士か原口元気にしてみてはどうかと思う。この2人のどちらかが前線にいれば個の勝負ができるからだが、別の理由として乾と原口を共存させる方法がおそらくこれしかないからだ。乾、原口は現状の日本代表で最も攻撃力のあるアタッカーなのだが、ポジションが同じ左ウイングで2人の同時起用ができない。原口の右も試したが上手くいかなかった。どちらかをトップ下に起用できれば2人の共存が可能になる。

 ベルギー戦ではベルギーリーグでプレーする久保裕也と森岡亮太に期待したい。森岡は典型的なトップ下で非常にクリエイティブ、得点力もある。ただ、ハリルホジッ チ監督の好みのタイプではないと思う。とはいえ、乾に関してもフィジカルと守備力を疑問視していて招集していなかった時期がある。森岡も監督の求める運動量や守備力に関して疑問だとしても、活躍しだいでは乾のようにメンバーに定着できるはずだ。

 今回の2試合のテーマではないが、相手に引かれたり、どうしても得点が必要なときの攻撃オプションが日本にはない。その手がかりでも今回の2試合で見つかればいいのだが。(西部謙司=スポーツライター)

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