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【コラム】西部謙司

U−20の進歩

[ 2017年5月27日 06:00 ]

久保はシュートを外した久保は残念そう
Photo By スポニチ

 南アフリカに勝ち、ウルグアイに負け。1次リーグ突破はイタリア戦次第だが、日本のプレーぶりは悪くない。

 日本のユース世代は中盤まではパスがつながるものの、最後のところで崩しきれない傾向があった。しかし、今回のU−20代表は狭いスペースでも崩しきることができる。堅守ウルグアイに対しても何度かは決定機を作っていた。ようやく答えが見えてきたのではないか。

 これまでの日本は相手の守備をどう崩し、いかに得点するかという最重要課題について、解答を持たないまま強化をしてきた。ビルドアップはできる、中盤もつなげる、しかしそこから先をどうしていいかわからない。ボールポゼッションは高くなるが、点をとれなければカウンターを食らうだけ。CBの個の能力はむしろ弱点なので、負けパターンだけがはっきりしているような状態が続いていた。

 出口がわからないままに進んできた。普通は出口を先に決めてからチームを作るものだと思うが、とりあえず手探りでやってきた。しかし、それでもやってみるものだ。久保、堂安、三好といった狭い場所でも受けられる、前を向ける、アイデアを出せる選手たちが育ってきた。ようやく出口が見えてきた。

 A代表のほうはもう諦めているようだ。やはり出口がわからないままW杯ブラジル大会の1次リーグで敗退すると、デュエルだ縦に速い攻撃だと、それまでの道のりを否定するような言葉ばかりが目立つようになり、出口を見つけるよりもスタートからやり直しているような状況である。

 今回のU−20にもいろいろな欠点はある。ただ、出口は見えてきた。整合性はついたので、今後は強化のポイントも明確になっていくのではないか。(西部謙司=スポーツライター)

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