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【コラム】西部謙司

消化不良のウズベキスタン戦

[ 2012年3月2日 06:00 ]

<W杯アジア3次予選最終戦 日本0―1ウズベキスタン>コンディションが悪く、精度も欠いた日本代表
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W杯アジア3次予選グループC 日本0―1ウズベキスタン
(2月29日 豊田ス)
 0-1で負けたウズベキスタン戦は、何かと消化不良なゲームだった。

 まず、日本のコンディションが良くなかった。Jリーグ開幕前の国内組の状態がまだまだなのは毎度のこと。欧州組はシーズン中だが、来日は試合の1日か2日前とコンディションが読めない。毎年この時期の出来が悪いのは仕方ないとはいえ、それが敗因になってしまうのは残念だ。

 それでも、前半の日本は優勢だった。ボランチがディフェンスラインの横に下り、サイドバックが前へ、サイドハーフが中へ、そして香川がその隙間に顔を出す。このサイドを中心としたコンビネーション、ローテーションは日本が得意とする形で、前半はそれで何回かチャンスを作っていた。

 ところが、後半に失点すると、焦りからか前へ前へ、俺が俺がという攻め方になり、パスワークが雑になってミスが多発した。前半のように落ち着いてビルドアップすれば、ウズベキスタンの分厚い守備もひきはがすことができたはずだ。

 テンポを上げるのがいけないわけではないが、テンポを上げたことでプレーが不正確になるのでは相手の思うつぼである。コンディションがないならないで、いたずらにテンポアップする必要はなかった。これは試合運びのまずさである。

 初招集でメディアの期待が大きかった宮市の出番もなかった。

 スピードが持ち味の選手なので、日本がリードしている状況ならカウンターの切り札として起用できるが、相手に引かれている状況では乾のほうが相応しい。ザッケローニ監督は、「(起用するための)条件がそろわなかった。チーム戦術も習得しておらず、出場しても本領を発揮できなかったのではないか」と述べた。これは理解できる。しかし、それならば、宮市が入り込めない理由であるコンビネーションをもっと発揮してほしかった。

 ハーフナーと李のプレーする順番も逆だった感が否めない。前半、コンビネーション中心の攻め方でハーフナーはほとんど存在感がなく、後半に李がプレーしてからハイクロスを放り込む攻撃になった。

 いろんなことが中途半端な試合になってしまった。ただ、日本が質の高いプレーができるチームなのは変わりない。最終予選に教訓を生かしてほしい。(西部謙司=スポーツライター)

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