藤井6冠を撃破 菅井八段、振り飛車党希望の完勝!王将戦躍進にも期待 叡王戦は1勝1敗振り出しに

[ 2023年4月24日 04:55 ]

叡王戦五番勝負第2局、終局後に大盤解説会場に姿を見せた菅井竜也八段(提供・日本将棋連盟)
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 藤井聡太叡王(20)=王将、竜王、王位、棋王、棋聖含む6冠=が挑戦者に菅井竜也八段(31)を迎える第8期叡王戦5番勝負第2局は23日、名古屋市の名古屋東急ホテルで指され、115手で先手菅井が勝利した。戦型は菅井の三間飛車から相穴熊へ進み、藤井の仕掛けに柔軟に対応した菅井がリードを奪って逃げ切った。対戦成績を1勝1敗とした菅井は18年王位戦以来4年8カ月ぶりのタイトル戦勝利。第3局は5月6日、同じく名古屋市の料亭「か茂免」で指される。

 藤井の投了を受け、一礼を返した菅井はなお厳しい表情で盤面を見つめた。タイトル戦勝利は豊島将之九段(32)と争った18年8月の王位戦第5局以来。対局開始から維持した闘志は、4年8カ月ぶりのタイトル戦勝利という果実を得てもうせることはなかった。

 「中盤の難しい将棋だったがうまく指せた。普通の振り飛車穴熊と比べると堅くない。比較が難しかった」

 戦型は先手菅井の三間飛車へ進んだ。お互いに王を穴熊へ収め、金銀で周囲を固め終える直前の42手目、藤井が仕掛けて戦闘が本格化。32手目までは菅井自身、3月の名人戦A級順位戦で経験のある戦型だが、以降は「あまり研究していない形になってしまった」。それでも飛車角の大駒を自陣で細かく配置し直す、振り飛車党らしい柔らかな指し回しが藤井の死角だったようでリードを奪っていった。

 敗れはしたが147手の熱戦に手応えもつかんだ11日の第1局。その前日会見で「藤井さんに負けると自分以外の振り飛車党では絶対勝てませんから。そういう意味では、最高の振り飛車対最高の居飛車の戦いだと僕は思っているので、頑張りたい」と語った。

 菅井は10人が総当たりで名人挑戦権を争う、A級順位戦唯一の振り飛車党。居飛車を取り入れた時期も数年前にあったが、再び振り飛車一本へ戻した。アマチュアには人気の振り飛車もAIが示す評価値は振るわず、トップ棋士の採用は低迷。その復権を待ち望む声を背に受けての5番勝負と自覚している。

 岡山市出身でランニングと筋トレを愛する。本社主催・大阪城公園ナイトランへの出場歴があり、自宅では長くスポニチ本紙を購読。本社主催・ALSOK杯王将戦名物「勝者の記念撮影」への憧れを語ったこともある。叡王戦と並行し、2次予選から出場する王将戦での躍進も期待される。 (筒崎 嘉一)

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