「ただ今、コント中。」フジお笑いDNAを次世代へ 若手D奮闘中 サンドウィッチマンら一流の発想に学び

[ 2021年7月10日 10:00 ]

「ただ今、コント中。」第3弾の新作コント「矢目内(やめない)知事」(伊達みきお)(C)フジテレビ
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 お笑いコンビ「サンドウィッチマン」が座長を務めるフジテレビの大型コント特番「ただ今、コント中。」は10日(後9・00~11・10)に第3弾が放送される。“お笑いのフジ”の伝統やDNAを次世代につなぐべく、数々のお笑い番組を手掛けてきた総合演出・有川崇氏の下に同局の若手ディレクター数人が集結。手腕を磨いている。最年少の大村昂平ディレクター(28)に話を聞いた。

 昨年8月、12月に続く第3弾。今回はレギュラーメンバーのサンドウィッチマン、バイきんぐ、かまいたち、福田麻貴(3時のヒロイン)が丸2日間に集中。タイトスケジュールとなったが、2セットを使い、同時に収録していくという異例の態勢を採り、乗り切った。

 人気コント「ガラとケー」「革ジャン兄弟」「クスブリーグ」をはじめ、サンドウィッチマンの伊達みきお(46)富澤たけし(47)がアプリで出会った武蔵と小次郎として刀を交える「決闘マッチングin巌流島」、相方の伊達がいないため代行のツッコミサービスを活用して富澤が新たな漫才に挑む「ツッコミ代行サービス」など新作コントも目白押しだ。

 有川氏は1999年の同局「笑う犬の生活」からコントを撮り続けている“コント職人”。近年はサンドウィッチマンのライブツアーも手掛ける。

 ――大村さんは2015年入社で「ネプリーグ」「ハモネプ」「笑野行動」などを担当。もともとバラエティー志望でしたか?

 「小学生の頃、『ワンナイR&R』が好きだったので、水曜日だけは夜10時半まで起きていても良かったんです。スペシャルなどで長い時は残り30分を録画して、それを家族で見るという楽しい記憶がありました。小学生から野球をやっていたので、野球をやるか、フジテレビのバラエティーを見るか、という生活でした。大学進学で福岡から上京したのですが、入試の時、お台場に来てフジテレビを観光しまして。ちょうどその時、『めちゃ×2イケてるッ!』で岡村隆史さんが復帰。本社前の池広場にセット(チリ鉱山落盤事故の救出劇)が残っていたのですが、ここで『めちゃイケ』が作られているんだ、と感激して。それからは、夏のイベントなど何かあるたびにフジテレビに遊びにきていました。大学3年の時、フジテレビのバラエティー制作のインターンシップ制度に受かりまして、『めちゃイケ』『アウト×デラックス』を作っている人たちのお話を聞く機会があり、やはり『バラエティーといえばフジテレビ』と再認識しフジテレビに行きたいなと思いました」

 ――第1弾は「YouTuber一家」「ただ今、歌謡祭」「クスブリーグ」、第2弾は「ゲーム実況」「ただ今、歌謡祭」「クスブリーグ」を担当。第3弾の一押しコントは?

 「『矢目内(やめない)知事』というコントで、いろいろな不祥事や問題を起こして、記者たちから『辞めないんですか?』とツッコまれる知事役に扮したサンド・伊達(みきお)さんの芝居、表情に注目していただきたいです。記者役には、情報番組で活躍しているリポーターの皆さんにも協力いただき、質問事項も伊達さんの答えもアドリブなんですが、伊達さんの受け答えや表情は悩んだ末に決まりました」

 ――有川さんやサンドウィッチマンさんたちから学ぶことも多いと思います。

 「僕の『矢目内知事』は、記者から何を言われていても“横柄に”“ドシッと構えて”『辞めませんよ』というテンションで答えるイメージでした。収録前に伊達さんとお話させていただくタイミングがありまして、伊達さんは『自分のしたことをめちゃくちゃ悪そうに反省しているように見せておいて、辞めそうなのに辞めない、という雰囲気の方が面白いんじゃないかな。でも、迷っているんだよね』とおっしゃって。そこに、記者役のしずる・池田(一真)さんと、わらふぢなるお・(口笛)なるおさんもいらして『じゃあ、やってみますか』と伊達さんが声掛けして、3人がアドリブで『矢目内知事』を演じてくださったんです。実際、伊達さんのご提案通り『申し訳なさそうにしているのに、辞めない』方が面白い。伊達さんは、記者役のかまいたち・山内(健司)さんにも横柄なパターンと申し訳なさそうなパターン、両方を実演して。山内さんも『申し訳なさそうな方が面白いですね』と。微妙なことなんですが、ちょっとしたノリで面白さが変わりました。本当に勉強になりましたし、一流の発想が聞けるというのはありがたいことです。年次や立場を関係なく、チームで作っているということを改めて実感しました」

 「総合演出の有川さんは、コントの職人なので、学ぶことばかり。台本はあるんですが、現場で作っていくという部分が大きいです。『こっちで動いた方がいいね』『こっちの方が笑いは起きるよね』と。出演者の想像とディレクターの想像をすり合わせていくところから学ばせていただいています。僕は事前に一生懸命シミュレーションしてしまうんですが、やはり現場では『富澤さんが言った方が面白いよね』『伊達さんがこう言った方が笑いになる』という風に変わっていくんです。それがコントの作り方なのではと思います。有川さんは本当は厳しい方なんだと思いますが、現場ではそれを一切見せません。収録の前日に制作チームで打ち合わせをしていると、『明日は段取りなどでミスが起きても、現場でガチガチな雰囲気にせずに、しっかり笑うところは笑って、お互いカバーし合って楽しくやりましょう』とおっしゃったんです。他のコント番組に比べても『ただ今、コント中。』は、ゲストの皆さんが『楽しかった』『また呼んでくださいね』と帰られるのは、座長のサンドウィッチマンのお二人と有川さんの作り上げた空気感のおかげ。その空気作りも有川さんの演出なんだと思っています」

 「細かいテクニックに関しては本当に職人芸なので、毎回新しいことを学ばせていただいています。オチなども自分が想像したものを有川さんに修正いただいていますし、迷ったら相談しています。1カット1カット、1フレーズ1フレーズに理由があるので、どうしてこっちが面白いのかを、有川さんはサラッとおっしゃるのですが、僕は一晩中考えても出てこないので…。『こういう理由で、このフレーズにしているんだ』『こういう理由で、このカットにしているんだ』と有川さんの背中で学んでいます。第1弾で『YouTuber一家』で台本を作った時は『説明が多すぎる』と指摘されました。有川さんからは、説明台詞を言わせなくても『え!?なんで!?』のような短いリアクションやフレーズで伝わるよ、と教えていただいています」

 ――大村さんのような若い世代から見て、テレビとインターネットやYouTubeの関係はどうお考えですか?

 「テレビ局にはいろいろな部署があるので、その強みをもっと生かすことができないかな、と同僚や先輩たちと話すことがあります。フジテレビのドラマの中で流れるバラエティー番組を、実際にバラエティー班が制作し、配信したりすれば、スピンオフ企画ではなく、相互に盛り上げることができるんじゃないか、という話を先日しました。報道・情報のメンバーとも今まで以上に関係を深めて、地上波とネットでコラボ企画もできるのでは、と。各ジャンルの職人たちがいるのがテレビ局なので、そのチーム力を合わせたら面白いコンテンツが生まれると思うんです」

 ――今後はどのような番組を作りたいですか?

 「フジテレビの先輩たちは出演者の方々と距離が近いといいますか、しっかりタッグ組んで、お互いに意見を出し合って番組を作ってきている印象があります。僕も同世代の出演者の皆さんと組んだ時、どんなものを生み出せるかはこれからですが、大村といえば○○という風に言われるような方たちと組んで、オリジナリティーのある番組を作っていきたいと思います」

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