小松政夫さんの「遺言」  生前最後のインタビュー書籍発売 12時間に及ぶ取材で「何もかも話した」

[ 2021年7月10日 05:30 ]

書籍「小松政夫 遺言」
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 昨年12月に肝細胞がんのため78歳で亡くなった小松政夫さんの、生前最後のインタビューとなった書籍「小松政夫 遺言」(青志社)が、10日に発売される。「喜劇役者」として生涯を全うした小松さんのルーツに迫る作品で、俳優の高倉健さんや樹木希林さんらとの交流の日々が綴られている。

 小松さんに大きな影響を与えたのが昭和の大スター、高倉さんだった。「ハナ肇とクレージーキャッツ」のメンバーで小松さんが師匠と慕う植木等さんの付き人時代、初めてフジテレビの廊下で遭遇。そのオーラに圧倒されたといい「思わず直立不動になりましたね」と語っている。

 その後、映画「駅 STATION」(81年)「居酒屋兆治」(83年)で共演。「駅…」では無言のまま立ち続け、背中で演技する高倉さんを目の当たりにした。「狂気と哀愁が芝居の原点」。かねて小松さんが感じていた役者哲学。その考えに確信を持つきっかけとなった。

 希林さんとも公私にわたって交流があった。TBSドラマ「時間ですよ」で共演した際、人を殴る芝居にちゅうちょしていたデビュー間もない浅田美代子(65)に対し、希林さんが「人を殴るってこういうことよ!」と言いながら本気で殴って演技指導。その姿に圧倒された。小松さんは生涯、徹底的にリアリティーにこだわった。希林さんの姿にも、その才能を見てとっていた。

 インタビューが行われたのは昨年秋。亡くなる直前だった。合計12時間に及ぶ取材を経て小松さんは「何もかも話した。これでお仕舞い。サイナラ、サイナラ、サイナラ」と、映画評論家・淀川長治さんのモノマネで、おなじみの決めぜりふ。「遺言」の独白には植木さんをはじめ、出会う人の縁によって作られていく小松さんの芸の神髄が詰まっている。

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