ソフトバンク・小久保監督が執念タクト この1日のために呼ばれた藤井が最終12回に昇格即“救い投げ”

[ 2024年4月18日 06:00 ]

パ・リーグ   ソフトバンク4-4日本ハム ( 2024年4月17日    エスコンF )

<日・ソ>12回に登板した藤井(撮影・高橋 茂夫)
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 ソフトバンクは17日、日本ハム戦で延長12回の末に引き分け、初のカード負け越し。延長11回に守護神ロベルト・オスナ投手(29)が2点差を追い付かれる悪夢の展開だったが、12回はこの日、1軍復帰の藤井皓哉投手(27)が切り抜けた。きょう18日に遠征を終え福岡へ戻るが、念には念を入れて小久保裕紀監督(52)が「この一日」のためだけに最短抹消期間で呼んだセットアッパーが、まさかの試合展開を締めくくる立役者となった。

 目の下には脂汗をかきながら藤井は、マウンドで自らに拍手を送って仕事を終えた。

 「求められている役割は、ゼロなので。開幕して(周囲に)、ずっと助けてもらっていた。こういうときは助け合い。失点すれば悔やまれるのでゼロで帰れて良かったです」

 この日、2軍での再調整を終え再登録されたばかりの右腕は、しびれる場面で復帰登板を果たした。4―4の延長12回で6番手登板。快足自慢の先頭、五十幡を直球で空振り三振。1死までは良かったが受難が続いた。

 代打・田宮の三ゴロを栗原が後逸。失策でのサヨナラの走者を置いた後、2死二塁で代打・加藤豪に四球。前夜16日に有原から決勝弾を放った郡司には「頭にないと思ったので。良かった」とスライダーで空振り三振に斬る。狙い通りだった。

 ベンチの小久保監督は、藤井が投げ終えた瞬間に思わず笑った。右腕を9回オスナへとつなぐ勝ちパターンとして期待されたが制球が乱れ、失点が続いた影響もあって7日に出場選手登録を抹消。2軍で3試合に登板し、最短の抹消期間でこの日、北海道遠征へやってきた。きょう18日に福岡に戻るだけに「この日」のためだけに呼んだ右腕が、まさかの延長12回で最後の最後に残っていた。「上がってきて、あの流れでね、よく抑えましたよ。あんなしびれる場面でね。0点で抑えたのは心強い」。笑顔で、絶賛を続けていた。

 16日の最終便で福岡から札幌入り。駆けつけで仕事をした藤井は、とんぼ返りで福岡へ戻る。「100にするのは難しいけど、開幕した状態よりもいい状態。しっかりこれからもゼロで帰れるように」と頼もしかった。

 1分け1敗となり、小久保ホークスで初のカード負け越しとなった。ただ「長いので、そういうこともあるでしょ」と指揮官は意に介さない。北の大地で勝利はつかめなかったが、それよりも、ゼロで戻った藤井の頼もしさが際立っていた。 (井上 満夫)

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