【1998年センバツ 松坂世代】甲子園衝撃デビュー“怪物の618球” 集結!村田、平石、久保、館山…

[ 2024年3月16日 07:15 ]

笑顔で横浜・松坂大輔(左)ロジンを渡す関大一・久保康友
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 第96回選抜高等学校野球大会(センバツ)は3月18日に開幕する。今大会は一般選考29校、21世紀枠2校、神宮大会枠1校の計32校が選考され、13日間の熱闘を繰り広げる。早春のセンバツは世代を代表するスター選手たちが最上級生で迎える大舞台でもある。「〇〇世代」として春の甲子園を沸かせた選手たちの特集。第8回は1998年の「松坂世代」。(構成 浅古正則)※敬称略

 ■松坂大輔(横浜)

 36校が出場する20世紀最後の記念大会。主役は神奈川・横浜高のエース松坂だった。早くから超高校級と注目されながら甲子園デビューはこの3年生の春だった。3月28日の初戦(2回戦)報徳学園(兵庫)戦の2回、鞘師智也(02年広島4巡目)への4球目。剛速球がうなりをあげる。巨人スカウトが手にしているスピードガンのデジタル表示は「150」。高校球児が甲子園で150キロの大台を突破したのは初めて。高校野球史に刻まれる1球となった。9回、2点を失ったが完投で聖地1勝。「紫紺の頂」へ歩みを進めた。3回戦の相手は東福岡。初回、先頭の2年生・田中賢介に中前打を浴びる。送りバントで1死二塁。3番は村田修一。エースで主砲。東福岡の大黒柱だった。松坂は村田から危険な匂いを嗅ぎ取っていた。「センバツの時に違うな、と思ったのは村田。こいつはスイングが違う」(2013年スポニチアーカイブスでの回想)。この第1打席は三振。終わってみれば村田を4打数無安打2三振に牛耳るなど13奪三振で甲子園初完封を飾った。

 準々決勝も郡山(奈良)を7奪三振、5安打完封。準決勝で“西の横綱”PL学園(大阪)と対戦した。初回の先頭打者、2年生の田中一徳(99年横浜1位)を二ゴロに仕留めると2番・平石洋介を遊ゴロ。3番のスラッガー大西宏明も二飛に打ち取ったが、立ち上がりから3人立て続けに“プロ注目の選手”との対戦。松坂は厳しい戦いを覚悟した。6回、松坂が2死満塁から三塁線を破られ2点を失う。だが横浜は8回、同点とし9回には無死一、三塁からスクイズで決勝点をもぎとった。最後の打者・を見逃し三振に仕留め25年ぶりのセンバツVへ王手をかけた。

 決勝は関大一(大阪)。エース久保康友は大会屈指の右腕としてプロから注目されていた。東西エース同士の真っ向対決。疲労が限界に達していた松坂は腰痛を抱えていた。制球重視の投球で4安打完封。たった一人で5試合、618球を投げ抜き春の頂点に立った。夏も出場。決勝ではノーヒットノーランを達成。春夏連覇の大偉業を成し遂げた。同年秋、西武1位。女房役で主将の小山良男は08年中日9巡目、一塁手・後藤武敏は02年西武自由獲得枠、右翼手・小池正晃は98年横浜(現DeNA)6位。

 ■村田修一(東福岡)

 初戦(2回戦)では出雲北陵(島根)相手に6安打完封。バットでも初回中前へ先制打を放つなど3安打2打点で春1勝を挙げた。3回戦では松坂に完敗したものの2試合で9打数3安打2打点。2年生の田中賢介(99年日本ハム2位)は7打数2安打0打点だった。夏出場も1回戦で敗退した。村田は日大を経て02年横浜(現DeNA)自由獲得枠。

 ■平石洋介・大西宏明(PL学園)

 1回戦の樟南(鹿児島)戦では主将の平石が先制のホームを踏むなど3打数1安打。大西も4打数2安打1打点。2回戦、創価(東京)戦でも大西が2安打1打点。3回戦敦賀気比(福井)戦でも大西は1安打と8強入りに貢献。準々決勝で明徳義塾(高知)に辛くもサヨナラ勝ちして横浜戦を迎えた。準決勝、平石は無安打。大西は2安打と気を吐いたが競り負けた。夏も出場し準々決勝で横浜と再戦したが延長17回の死闘で敗れ去った。平石は同大、トヨタを経て04年楽天7巡目。大西は近大を経て02年大阪近鉄7巡目。

 ■久保康友(関大一)

 前年秋の近畿大会で智弁学園(奈良)を完封し8強入り。安定した投球が高く評価され関西甲種商時代の1929年以来、69年ぶりのセンバツに導いている。初戦(2回戦)は鈴鹿(三重)相手に14点の大量援護もあり1失点で楽々完投。3回戦も今治西(愛媛)を1失点完投。準々決勝は浦和学院(埼玉)に2失点で3連続完投勝利。準決勝は日大藤沢(神奈川)相手に134球、3失点の完投勝利を挙げている。決勝は松坂に投げ負けたが5試合、596球を投げ抜いた。「完全に力負けでした」夏は北大阪大会を勝ち抜き初出場。準々決勝で明徳義塾に敗退した。松下電器を経て04年ロッテ自由獲得枠。

 ■館山昌平(日大藤沢)

 横浜とともに神奈川から出場。進撃したのが日大藤沢、エースは館山だった。目標があった。横浜には前年秋の神奈川県大会、関東大会決勝でいずれも負けている「勝ち上がって決勝で横浜を倒すこと」チーム一丸、初戦(2回戦)は近江(滋賀)に3失点完投勝利。3回戦豊田西(愛知)戦では救援で5回6奪三振。準々決勝では高鍋(宮崎)に11安打を浴びながらも3失点、163球で完投した。ただ準決勝は先発回避。関大一に敗れ横浜との“再戦”はならなかった。夏は東神奈川大会準決勝敗退。日大を経て02年ヤクルト3巡目。

 ■東出輝裕(敦賀気比)

 島田商との初戦(2回戦)。投手&1番打者&主将。おまけに公式戦初先発の東出がチームを春1勝に導いた。初回四球で出塁するとすかさず二盗。2回にも安打で出ると二盗、三盗を決める。4打数2安打3盗塁に1失点完投。小柄な背番号「6」が躍動した。3回戦PL学園戦では3失点の悔しい敗戦。夏出場も初戦敗退した。同年秋広島1位。

 ■新垣渚(沖縄水産)

 1回戦浦和学院戦に2番手として登板。147キロでスカウトたちをうならせた。4回7奪三振も4四球2失点。「力みすぎでした」と姿を消した。夏も同じ埼玉の埼玉栄に初戦で敗れた。九共大を経て02年ダイエー自由獲得枠

 ■小谷野栄一(創価)

 前年秋の東京都大会で準V。3年ぶり2度目の出場で春1勝を目指したが、初戦(2回戦)でPL学園に零封負けした。3番・二塁の小谷野は3打数無安打1四球だった。夏は西東京大会5回戦敗退。創価大を経て02年日本ハム5巡目。


 【1998年選抜に届かなかった“松坂世代”主な選手(秋季大会成績)】和田毅(浜田=中国大会1回戦敗退)杉内俊哉(鹿児島実=鹿児島大会準々決勝敗退)木佐貫洋(川内=九州大会2回戦敗退)藤川球児(高知商=四国大会1回戦敗退)森本稀哲(帝京=東京都大会準々決勝敗退)渡辺直人(牛久=茨城県大会準々決勝敗退)

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