阪神・右京 春季キャンプ野手最年少MVPで「開幕左翼」大前進 岡田監督も絶賛「当然1軍戦力」

[ 2024年2月28日 05:15 ]

阪神キャンプMVPの前川(左)、岡留(右)らとタッチを交わす岡田監督(撮影・椎名 航)
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 阪神は27日、沖縄・宜野座キャンプを打ち上げた。岡田彰布監督(66)から野手のキャンプMVPに選ばれた前川右京外野手(20)は、格段にアップした「打球の飛距離」に手応えをにじませた。自己採点は「55点」とやや辛めながら、3月2日の日本ハム戦(札幌ドーム)から再開するオープン戦では、対左腕でも積極起用される予定。指揮官からは「当然、1軍戦力」と高い評価を受けており、結果さえ残せば、右肘痛で出遅れているノイジーを差し置いて早々に「開幕左翼」の座をつかむ可能性も出てきた。

 南国での1カ月を、駆け抜けた。前川がプロ3年目にして1軍キャンプ初完走。攻守に確かな成長を見せた雄姿に、岡田監督も賛辞を惜しまなかった。

 「凄く飛距離も伸びたし、下半身もドシッとして、いいものを見せてくれた。一番、期待値が上がった」

 11日の紅白戦で4打数4安打し、20日の韓国サムスン戦では豪快な右越え決勝弾など序盤から格段にレベルアップした打棒を見せつけた。14日からは左翼への再挑戦を開始し、慣れない守備位置も無難にこなす。指揮官は時に叱咤(しった)しながら、取り組みを見守ってきた。そして打ち上げに際し、野手MVPに指名。宜野座キャンプ史上最年少となる弱冠20歳のMVP誕生は、それだけ大器と期待するからこそだ。

 「ノイジーの出遅れもあるけど、どんどん外野手として使える。十分、戦力として今年はいける。(1カ月)ケガとかなしで乗り切ったから。こらもう当然、1軍戦力として見ているけどね。今年はボールが上がる。飛距離も柵越えとか凄い」

 まさに賛辞のオンパレードだが、当の前川は「(MVPは)正直めっちゃビックリしました。他にもっと活躍されている選手がいたので、僕じゃないと思っていた。驚きです」と目を丸くした。評価を受ける「飛距離」については「少し(飛ぶようになった実感)はある」とほほ笑みつつ「まだ波がある。もっと練習して(感覚を)つかめるように」とまだ満足はしない。自己採点が辛めの「55点」なのも、自身の伸びしろを信じるがゆえだ。

 昨季は対右腕でのスタメンが多かったが、指揮官が「(試合に)使ってたら左(投手)も出てくるやろ。左には別に当ててもいいと思うけど」と見通しを立てるように、今後のオープン戦では対左腕でも積極起用される方針。左翼を争うライバルのノイジーは右肘痛で調整が遅れており、前川がこのまま好調を維持できれば、右腕・戸郷と対戦する3月29日巨人戦(東京ドーム)の「開幕左翼」の座も見えてくる。

 「スローイングが課題として一番大事。どの球場でもその課題をつぶしていきたい。打撃の対応力も大事。ちゃんと磨きたい」。慢心とは無縁の若武者。岡田阪神の新たな「看板」を背負うべく、快音を奏で続ける。(八木 勇磨)

 《投手MVPは岡留》投手MVPには3年目の岡留が選ばれた。「90点以上はあったキャンプ。見てもらえたのは凄くありがたいけど、本当に勝負はこれから。リセットして、ここから死に物狂いでやっていけたら」と冷静に受け止めた。実戦4試合に登板し、5回を投げて2安打無失点。岡田監督も「1軍戦力として確信を持てた選手」と強力ブルペンの層をさらに厚くすることを期待。沖縄・糸満出身の右腕は「しっかりやりたいことができた。去年よりは真っすぐで強さも出せている。結果を追い求めてやっていく」と地元からの飛躍を誓った。

 《23年井上の21歳下回り20歳の前川が最年少MVP》○…阪神の春季キャンプMVPに岡留と前川が選ばれた。球団が沖縄・宜野座で春季キャンプを行うのは03年からで、11年までは2月中旬から高知・安芸に移動して2次キャンプを実施していた。この期間に宜野座MVPに選出された選手を含めても、前川の20歳は23年井上の21歳を下回り最年少となった。

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