ヤクルト・奥川 今春初ライブBP順調146キロ!復活へ関門突破 高津監督「一つずつ段階をクリア」

[ 2024年2月14日 05:30 ]

ヤクルト・高津監督(奥)の前で打撃投手を務める奥川(撮影・尾崎 有希)
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 ヤクルトの奥川恭伸投手(22)が13日、沖縄・浦添キャンプで実戦形式のライブBPに登板。打者15人に27球を投じて安打性の打球を3本に抑え、最速146キロをマークした。右肘痛などコンディション不良にも悩まされて過去2年はわずか1試合の登板。近い将来のエースとして期待される右腕が、巻き返しを狙う今季に向けて順調にステップを踏んだ。

 マウンドへ向かう奥川に、スタンドから拍手が送られる。完全復活を待ち望むファンの熱い思い。でも、そんな拍手を受け止める余裕はなかった。「あまり聞こえてなかった。集中していたので」。単なる調整ではない。長い復活への道のりの中、それほど大事なステップの一つだった。

 打者に投げるのは昨年11月11日、愛媛・松山の秋季キャンプ期間中に行われた四国・愛媛との練習試合以来。沖縄の太陽を浴びながら打者15人に27球を投じ、最速146キロで安打性の打球を3本に抑えた。球速については「この時期だし、これから、どんどん上がっていけば」と話し、投球の中で浮かび上がった課題に奥川は確かな手応えを感じていた。

 クイックも試し、全球種を投げた。内容は上々だが「まだまだですね。打者との対戦の感覚とか。球種の緩急だけでなく、同じ球種での緩急とか、打者のタイミングを外す球とか。試合に向けてたくさんやらないといけない」と言う。その数ある反省点が出たこと自体が収穫。ここまで段階を踏み、スケジュール通りに打者へ投げるステップまで来た。だから修正点、反省点も出る。右肘や下半身など度重なる故障で、ほぼ2シーズンを棒に振った。調子が上がると、どこかが痛くなった。だから「予定通り進むのが一番。今までそこがうまくいっていなかった」と感慨を込める。

 まだまだ投手有利な時期ではあるが、主力も押し込んだ好投。対戦した長岡が「変化球の精度、コントロール、切れ、本当に素晴らしい」と振り返るように投じるボールの輝きは失っていない。高津監督は「凄く内容のあるいいBP。毎日一つずつ段階をクリアしてきているのかなという感じがする」と話し、次回登板は18日の中日との練習試合(浦添)に先発させることを明かした。いよいよ他球団との実戦マウンド。2イニング投げる予定の奥川は言った。

 「一年間、ケガなく、1軍で投げ続けるのが一番の目標です」

 21年には9勝を挙げてリーグ優勝に貢献も、ここ2年で同学年のロッテ・佐々木やオリックス・宮城に先を越された。遠くに見える同世代の背中を見据えながら、焦らずに完全復活への道を歩く。(秋村 誠人)

 【奥川これまでの4年間】
 ☆20年 2軍で実戦を積み、11月7日に1軍初昇格。最終戦の同10日の広島戦(神宮)でプロ初登板初先発も、2回0/3を5失点で黒星。

 ☆21年 開幕ローテーション入りを果たし、4月8日の広島戦(神宮)でプロ初勝利。中10日など十分な間隔を空けながらの登板ながらチームトップタイの9勝を挙げ、巨人とのCSファイナルS初戦で、プレーオフ、CS史上で最年少完封勝利を挙げた。

 ☆22年 3月29日の巨人戦(神宮)で右肘を痛めて登録抹消。2軍も含めて1試合の登板にとどまり、シーズン終了後に右肘の保存療法を選択。

 ☆23年 4月18日のイースタン・リーグ、ロッテ戦(戸田)で385日ぶりの実戦登板。7月には練習中に左足首を捻挫したが、10月に実戦復帰。1軍登板はなかった。

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