阪神ドラ1下村 藤浪と初対面「迫力が凄かった」 「19」の先輩と同じ甲子園初登板勝利狙う

[ 2024年1月14日 05:15 ]

ブルペンで投げる藤浪(撮影・後藤 大輝)
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 猛虎の新旧「19」が一堂に会した。阪神のドラフト1位・下村海翔投手(21=青学大)が13日、兵庫県西宮市の鳴尾浜球場での新人合同自主トレ中に、背番号「19」の先輩である藤浪晋太郎投手(29=オリオールズFA)と初対面を果たした。そのブルペン投球を見学し、最速165キロを誇るメジャーリーガー右腕の迫力、球威を目に焼き付けたドラ1右腕。11年前の藤浪同様に、新人年の聖地・甲子園での初登板勝利に意欲を示した。

 寒さも吹き飛んだ。みぞれが舞う鳴尾浜。そのブルペンが、熱気に包まれた。捕手後方に陣取った下村の約20メートル先で腕を振っていたのは、1メートル98の長身右腕。藤浪だった。「19」の先輩が投じる一球一球を食い入るように見つめ、胸を躍らせながら、球威、軌道を目に焼き付けた。

 「迫力が凄かったです。距離感が近く感じました。思い切りは投げていなかったのですが、やっぱり迫力がありました」

 憧れの人との初対面の瞬間は、突如として訪れた。午後のウエートルームでのトレーニング中に藤浪が現れ、新入団選手としてあいさつ。「アメリカにいるのかなと思っていた」と驚いた。さらにブルペン投球見学の僥倖(ぎょうこう)にまで預かることができた。球数にすると2、3球にすぎず、捕手も立たせたままだった。それでも間近で接したルーキーが得たものは、計り知れなかった。

 特に感じたことがあった。「手元での強さ…思い切りではなくてもベース(板)上でもボールが強かったように感じました」。プロでは、いかに打者の手元で伸びる球を投げることが大事か――それを、肌で感じ取ることができた。

 西宮市出身。九州国際大付(福岡)ではたどり着けなかったが、甲子園は小、中学の連合体育大会や成人式の舞台として慣れ親しんだ地元の“シンボル”として認識する。10歳の時には、その外野席から大阪桐蔭(大阪)の春夏連覇も見届けた。目の前にいるのは、あの藤浪だった。「(スタンドから)見ていた人が近くにいて、すごく不思議な気持ち。まだ自分がプロ野球選手という感じがしていない」。思えば11年前の13年4月14日DeNA戦で1年目の藤浪がプロ初勝利を挙げたのも、聖地初登板だった。

 「それ(藤浪の初勝利が甲子園という事実)も縁だと思う。初めての登板機会が甲子園だったら、もちろん勝ちを目指してやっていきたい」

 下村も、その背中を追うのは自然な流れだろう。猛虎の「19」の継承者として、視界に捉えるのは先代と同じ甲子園初登板勝利。この日の藤浪のデモンストレーションは、後輩へのメッセージとも取れる。それを生かすも殺すも、下村次第。成長につなげることができれば、言うことなしだ。(杉原 瑠夏)

 《藤浪は捕手立たせたまま50球》藤浪はこの日、午後1時過ぎに鳴尾浜球場に姿を現し、軽めのランニングとキャッチボールでウオーミングアップを行った後、ブルペン入りした。寒風吹きすさぶ中、捕手を立たせたまま約50球を小気味よく投じ、最後はポール間ダッシュを10本消化。午後3時過ぎに練習を切り上げ、この日は取材対応はなかった。なお、来季の去就についてはメジャー日本選手で唯一、未定となっている。

 ▽藤浪の甲子園初登板勝利 13年4月14日、プロ3戦目となるDeNA戦に先発し、本拠地の甲子園では初登板。初回を3者凡退で切り抜けると、6回を5安打4奪三振1四球で無失点と好投し、プロ初勝利を飾った。最速は152キロを計測。5回の打席では追加点となるスクイズを決めるなどバットでも貢献した。

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