山梨学院・林の696球 開幕戦から決勝戦まで歴代7位の球数&4完投で頂点

[ 2023年4月2日 05:05 ]

第95回選抜高校野球大会最終日・決勝   山梨学院7-3報徳学園 ( 2023年4月1日    甲子園 )

<報徳学園・山梨学院> 優勝に喜ぶ山梨学院・林と佐仲のバッテリー (撮影・亀井 直樹)
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 開幕と終幕。2つの大役を担ったのは山梨学院のエース右腕・林謙吾(3年)だった。東北との開幕戦で今大会のファーストピッチを投じた右腕の力強さは最後まで変わらない。9回2死で投じた118球目、今大会の696球目は、130キロの直球だった。中堅手が飛球をつかむ。エースは拳を突き上げた。

 「最高。凄く楽しかった。始まりが開幕戦だったので凄い印象には残ってるんですけど一番は今日の決勝。やっぱり2校しか体験できない舞台だと思うので楽しかったです」

 底なしのスタミナで山梨学院、そして山梨の高校野球史に栄光をもたらした。先発で6連投となったが疲れを見せずに130キロ台の直球、スライダーなどで丁寧にコーナーを突いた。4回にボークで先制点を与えるなど2失点も「苦しい場面が続くことは想定していたので、できるだけ最少失点でと思って投げた」と言う。6安打3失点で、今大会4度目の完投勝利を挙げた。

 直球の最速は140キロで、驚くような変化球もないオーソドックスな右の上手投げ。それでも強豪校の打者を苦しめ続けた。秘密がある。吉田監督の息子で、映像から相手打者と林の持ち球との相性を研究した健人部長が、試合前日に行うバッテリーミーティングだ。林、捕手の佐仲大輝(3年)で配球と守備位置を入念に確認。高い制球力で相手の弱点を突き続けた。

 東京都出身で小学6年時にジャイアンツジュニアに選出された逸材が、甲子園を目指すために山梨に越境。冬場のトレーニングで体重を約7キロ増やし、大会中も入念なケアを怠らなかった。選抜歴代7位となる球数で夢をかなえ、頂点に立った林は「選手としては上には上がいる。自分が良い投手と思ったことはない。個人の力を上げていきたい」と誓う。春夏連覇を狙う夏は、もっと成長した姿を見せる。(柳内 遼平)

 ◇林 謙吾(はやし・けんご)2005年(平17)7月30日生まれ、東京都出身の17歳。駿台学園中では軟式野球部に所属し、1年時に夏の全国大会ベスト4。山梨学院では2年秋からベンチ入りし、昨秋の明治神宮大会から背番号1。最速140キロ。50メートル走6秒6、遠投100メートル。1メートル78、81キロ。右投げ右打ち。

 ≪選抜初の6勝≫山梨学院の林が今大会6勝目。春夏通じ甲子園で1大会6勝は、13年夏に前橋育英の高橋(現西武)が記録して以来で、選抜では初。また、この日の118球を含め今大会は合計696球。70年以降の選抜では13年済美の安楽(現楽天)の772球を筆頭に7番目の記録になった。

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