声出し解禁になってより感じる球場でしか味わえない空気

[ 2023年4月2日 14:29 ]

盛り上がる東京ドーム右翼席の巨人ファン
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 日の丸を背負い、打線の中軸を担ったからこその言葉に、重みを感じた。第5回WBCで、侍ジャパンが14年ぶりの世界一を奪還した3月22日。巨人・中田翔はこう言った。

 「打てなかった時の球場のため息だったり、凄く響く。相当なプレッシャーがみんなあったと思います」

 過去のどの大会でも日本での試合は完全ホーム。球場全体の大観衆が侍ジャパンを後押ししている。特に、今季から声出し応援も戻ってきた。応援歌が鳴り響く大声援が、選手に力を与える半面、ファンの一喜一憂もダイレクトに伝わってくる。それは完全ホームならなおさらだ。WBC経験者が言う「独特な雰囲気」というのはここにもあるのだなと感じた。

 声出し応援が解禁され「日常」に近づいてきたプロ野球。コロナ禍真っただ中の21年から、プロ野球担当記者になった自分にとっては新鮮に感じる部分もある。特に、コロナ前もプロ野球の試合はよく観戦していたが、東京ドームにはあまり足を運んでなかったため、東京ドームの反響音には驚きも。ある選手の「満員の中で、普通にプレーしてこそプロ野球選手」という言葉も思い出した。

 東京ドームは開幕戦から2試合続けて4万人を超える大観衆が詰めかけた。多くを占めるG党を2日間連続で一番沸かせたのは間違いなく中田翔だった。全5打点を叩き出し、2戦連続弾も。2号ソロの確信歩きと同時に起きた大歓声は凄まじかった。WBCで野球界は盛り上がる中での、声出し解禁。いつでもどこでも映像で試合が見られる時代になっても、球場でないと味わえない空気があると強く感じた。(記者コラム・小野寺 大)

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2023年4月2日のニュース