ソフトB・10年育成ドラ2“黄金世代”中原さんが描く 糸島のフィールド・オブ・ドリームス

[ 2023年3月22日 06:00 ]

きくらげを栽培している中原さん
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 元ソフトバンク内野手の中原大樹さん(30)が第二の人生として福岡県糸島市内で3年前から国産のきくらげを栽培している。新たにきくらげを栽培しているビニールハウスの隣にグラウンドを建設中で野球塾を開く予定。メッツの千賀滉大投手(30)、ソフトバンクの牧原大成内野手(30)、甲斐拓也捕手(30)とは2010年育成ドラフト同期の“元祖ロマン砲”は、新たなステージで奮闘している。

 戦いの舞台はグラウンドからビニールハウスに変わった中原さんだが、表情には充実感が漂っている。

 鹿児島城西高で高校通算36本塁打の強打で活躍。ソフトバンクには10年に育成ドラフト2位で入団した。同期の育成指名にはメッツに移籍した千賀、日本中を熱狂させているWBCに出場している甲斐、牧原大がいる黄金世代の一人だ。中原さん自身はプロでは芽が出ず、14年に引退。その後はホークスのアカデミーで指導しながら、別の一般企業に就職してサラリーマンに。3年前からきくらげを栽培する農家に転身した。きくらげは主に中華料理やラーメンなどにアクセントとして使われる食材だが、国産はわずか5%ほど。9割以上は中国からの輸入に頼っている。物価高の影響で「中国産の価格が国産と同じになると、国産を使いたい飲食店さんが増える」と考えた。食物繊維、ビタミンD、鉄分、カルシウムなど栄養価の部分にも注目し「子供たちに食べてもらいたい」と思い至った。

 国産のきくらげは乾燥きくらげと違い「ぷりっとして、魚のえんがわみたいな食感がするといわれます」。夏場が主流だが、中原さんの農家では取引先のニーズに応えようと通年で栽培する。現在は福岡市の小学校、中学校の学校給食にも採用されるなど人気だ。

 新たに力を入れるのは野球への恩返しだ。自宅がある福岡県宇美町を中心に球場を借り、練習会や1対1のレッスンなど野球塾を実施してきたが、新たにきくらげを栽培している施設の隣に野球のグラウンドを建設中。「あとは(防球)ネットを張るだけです」という段階まで進んだ。完成すれば野球塾を開催する予定。まさに糸島の“フィールド・オブ・ドリームス”だ。

 引退後の野球教室でロッテ、中日で通算1142安打の愛甲猛氏(野球評論家)と一緒になった際に「育成だろうがNPBのユニホームに袖を通したのなら野球界に貢献しろ」と掛けられた言葉がきっかけ。「僕の微々たる経験を子供たちに伝え、一人でも多く野球を楽しいと思う子がでてきたらと思います」と力を込める。

 野球塾を広める中で「きくらげのパウダーが入ったプロテインを作れれば、もっと広まるんじゃないかなと思っています」と構想もある。糸島から2つの業界を盛り上げる。

 中原さんが育成の同期3人の思い出を語った。千賀(メッツ)は当時から球が速かった。現在ほど制球力がなかったためシート打撃で対戦する際は「打席に立つのも怖かった。どこ来るか分からないし。なおかつ速いから…」と懐かしむ。

 《千賀、甲斐、牧原大…活躍する同期から刺激》

 侍ジャパンの一員となった牧原大と甲斐には対照的な印象がある。牧原大について、新人合同自主トレで初めてキャッチボールをした際「投手じゃない人がこんな球を投げるんだと思いましたね。めちゃくちゃ伸びてくるし、凄いなと思いましたね」と当時の衝撃を興奮気味に振り返る。一方、甲斐評は「努力家」。早めに2軍の雁の巣球場に行きマシン相手にキャッチング練習する姿を間近で見てきた。「今は(3人とも)全然雲の上の存在になっている。凄いなと思います」と世界で活躍する同期から、刺激をもらっている。

 《「鷹野球ソーセージ」発売中》

 ○…元ソフトバンクで現在は家業の豚肉業者に転身した江川智晃氏とコラボした「鷹野球ソーセージ」も好評発売中だ。豚肉ときくらげが絶妙にマッチした商品でテレビ番組で藤本監督が実食し、太鼓判を押されるなど大人気だ。

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