慶応・清原 父が見守る中、豪快フルスイングで聖地初安打も…延長10回タイブレークサヨナラ負け

[ 2023年3月22日 05:20 ]

第95回選抜高校野球大会第4日・2回戦   慶応1-2仙台育英 ( 2023年3月21日    甲子園 )

<仙台育英・慶応>初戦敗退に悔しげな表情で引き揚げる慶応・清原(手前)=撮影・北條 貴史
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 2回戦3試合が行われ、PL学園(大阪)時代に甲子園歴代最多の13本塁打を放ち、西武、巨人などでも活躍した清原和博氏(55)の次男で慶応(神奈川)の勝児内野手(2年)は仙台育英(宮城)戦に「5番・三塁」で出場。試合は延長タイブレークの末に1―2で敗れたが、父譲りの豪快なスイングで聖地初安打も記録した。能代松陽(秋田)はプロ注目右腕・森岡大智(3年)が今大会完封一番乗りで石橋(栃木)を3―0で下した。

 球場全体から湧き上がる拍手と歓声。雨の中、今大会最多2万4000人の視線をくぎ付けにした清原は、笑っていた。タイブレークの延長10回2死満塁。初球からスイングする姿に期待は高まったが、最後はスライダーに空振り三振。バットを叩きつけて悔しがったが、最後も父譲りのフルスイングを貫いた。

 「5番、サード、清原君」。父がPL学園3年時に日本一に輝いた85年夏以来、38年ぶりに聖地に「清原」コールが響く。2回先頭の初打席。1ボールから相手先発左腕・仁田陽翔(3年)の内角直球を豪快なスイングで左前に運んだ。相手が後逸する間に二塁を陥れ、笑顔でガッツポーズ。初の甲子園は5打数1安打に終わり、チームも延長10回サヨナラ負けで初戦敗退となったが「いい試合ができたので、一生記憶に残ると思う。(延長10回の打席は集中して)本当に何も聞こえなかった」と振り返った。

 「堂々と胸張って頑張れ」。試合前に家族全員から携帯電話にメッセージが届いた。昨年末、都内の屋内練習施設に家族がそろった。父がトスを上げ、慶大でプレーする兄・正吾(2年)と清原が黙々と打ち、母・亜希さん(53)が球拾い。父が実演することもあったといい、正吾は「弟は父が一番活躍した舞台に立てる。注目されることもプラスに捉え打ってほしい」と思いを語っていた。家族全員の思いを背負い、聖地でプレー。全ての経験が宝物となった。

 試合前にはWBC準決勝で日本代表がサヨナラ勝ちしたことを知り「自分たちも苦しい展開でも勝つと思えた」と必勝を誓って臨んだ試合。「1本が出なくて、自分のせいで負けたと思っている」と責任を背負う。単位不足で1年生を2度経験したことで甲子園を目指すチャンスは今夏が最後。「頼れる選手になって夏、帰ってきたい」。父と息子の挑戦は終わらない。甲子園は、清原を待っている。(村井 樹)

 ◇清原 勝児(きよはら・かつじ)2005年(平17)5月1日生まれ、東京都出身の17歳。5歳から野球を始め、小学校時代はオール麻布でプレー。小6の時にNPB12球団ジュニアトーナメントに巨人ジュニアの一員として出場。中学時代は世田谷西リトルシニアに所属した。高校通算11本塁打。50メートル走6秒5、遠投90メートル。1メートル75、80キロ。右投げ右打ち。

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