ヌートバーの熱き21日間 マイアミに舞った!結束の証「ペッパーミル」と侍魂で世界一導いた日本の1番

[ 2023年3月22日 11:58 ]

WBC決勝   日本3―2米国 ( 2023年3月21日    米・マイアミ )

<米国・日本>4回、岡本和の大会2号ソロに雄叫びを上げる大谷(手前左)ヌートバー、村上ら侍ジャパンナイン(撮影・会津 智海)
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 侍ジャパンが14年ぶりに世界一を奪回した。第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は21日(日本時間22日)、米マイアミの「ローンデポ・パーク」で決勝戦が行われ、日本は3―2で米国を下し、09年第2回大会以来、3大会ぶりの世界一となった。13年のドミニカ共和国以来、大会史上2度目となる全勝優勝だった。

 「(世界一になり)チームの仲間になれて、言葉にならない。ニッポンダイスキ。アリガトウ」

 3ー2の9回。7番手でマウンドに上がった大谷が、最後は盟友・トラウトを三振に斬りゲームセット。大谷を中心に歓喜の輪ができ、日本の切り込み隊長のラーズ・ヌートバー外野手(25=カージナルス)も笑顔でナインたちと熱いハグを交わした。そして、優勝記念Tシャツを着て米国メディアのインタビューに答える姿もあった。表彰式ではダルビッシュ、吉田、大谷とともにメジャー侍4人と誠也のユニホーム合わせ“5人”で記念撮影。大谷とは抱き合い喜びを分かち合った。

 そして金メダルを首にかけ表彰台では栗山監督とも熱い抱擁。色とりどりのテープが舞う中、白い歯がこぼれた。その後、栗山監督、ダルビッシュ、大谷に続きナインから「たっちゃん!」の声がかかり、少し怖そうにしながらもマイアミの夜空に3度舞った。

 全試合「1番・中堅」で先発出場したヌートバー。2日に来日し、ミドルネームが「タツジ」のため宿舎などでは「たっちゃん」と呼ばれるなど、早くも愛されキャラを発揮した。翌3日に大谷とチームに合流した際にはナインやスタッフみんなが“たっちゃんTシャツ”を着て歓迎。その日に行われた中日との壮行試合では、ベンチで日本の野球の雰囲気を体感した。

 侍実戦デビューは6日に行われた阪神との強化試合だった。初打席となった初回、才木の外角高め153キロ直球を捉え、中堅左へあいさつ代わりのクリーンヒット。メジャーの試合でも見せるコショウをひくパフォーマンス「ペッパーミル」でベンチを盛り上げた。これが侍ジャパンでの初ペッパーミル。このパフォーマンスが大谷から始まり侍ジャパン、そしてファンにも浸透。日本の結束の証として、チームに勢いと勇気を持ち込んだ。

 球場には実際のペッパーミルをファンが持ち込み、店頭では売り切れが続出するなど“社会現象”にもなった。たっちゃんフィーバーが加速する中で本大会が開幕。9日の1次らインドB組初戦の中国戦では初安打、美技に続いて足でも魅せたメジャーリーガーの実力を見せつけ日本に勢いをもたらした。

 1次ラウンド4連勝、準々決勝イタリア戦、準決勝メキシコ戦と6連勝中のチームの中で、グラウンドでベンチで侍ナインを鼓舞。この日の決勝でも、先制された直後の2回1死満塁で追い込まれながらも、3球目の内角の厳しいツーシームに詰まりながらきっちりと転がし、三走・岡本和が生還し勝ち越し点を叩き出した。

 結束の証「ペッパーミル」と侍魂で世界一導いた日本の切り込み隊長・ヌートバーの熱き21日間は、日本中の野球ファンの心と記憶にしっかりと刻まれた。

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