子供のため、より長く――ロッテ最年長腕“美馬パパ”は南の島で「より重く」

[ 2023年1月29日 07:45 ]

塁間の距離のキャッチボールで力強いボールを投げるロッテ・美馬
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 沖縄・石垣島に来ている。WBA世界ライトフライ級王座を13度連続防衛した具志堅用高氏の出身地。ただ、今回はボクシング関連の取材ではなく、ロッテのキャンプ取材。先乗り自主トレを行う選手たちと同じ日程で現地入りした。大寒波の東京から南の島へ。うらやましがられそうだが、ここ数日は曇天で風も強く、実際の気温よりも体感温度はずっと低いため、コートを手放せないでいる。

 今回の自主トレに参加しているのは新人を含めた20選手。まだ実績の少ない若手が中心で、2月1日のキャンプ初日からアピールすべく懸命に準備を進めている。そんな選手たちを和ませているのが石垣市中央運動公園へ“お散歩”にやって来る保育園児たち。0~1歳、1~2歳クラスの子供たちでスタンドの階段を登る子もいれば、まだ、つかまり立ちの子もいる。「バンガレ~!」の声が何ともほほ笑ましい。その姿を見ながら、1児の父である美馬の言葉を思い出した。

 「以前は(テレビに映る)ロッテ選手は、みんな“パパ”だったけど、やっと僕が僕だって分かるようになった。野球ってものを何となく分かっているみたいだけど、しっかり認識してる感じではないので、野球選手だと認識してもらえるまでは(現役を)続けたい」

 美馬の長男は3歳になったそうで、石垣の球場に来ていた子供たちよりは少し年上だが、同じようにかわいい盛りだろう。今月17日には都内で自主トレを公開。囲み取材で、NHK Eテレ「おとうさんといっしょ」に出演した際の話題になると、ロッテ投手陣最年長の36歳は、うれしそうに表情を緩めていた。

 プロボクシング界でもバンタム級史上初の4団体王座統一を達成した井上尚弥(大橋)やWBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(志成)ら子煩悩なボクサーは少なくない。井岡からは「家族のため」、「子供のため」という言葉を何度も聞いた。父親であることが結果を残せる理由にはならない。だが、頑張れる理由にはなるのではないか。

 長く現役を続けるためには、いかに体力を維持できるかが重要で厳しいトレーニングは不可欠。長男の存在がパパに“もう一踏ん張り”させているのだろう。美馬は「去年より重く、昨日より重く…を意識し、それができている」という。昨季はチーム最多の10勝(6敗)。「今年もたくさん勝っている姿を見せたい」というベテラン右腕の活躍に期待している。(記者コラム・大内 辰祐)

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