ソフトバンク・有原 新天地を選び“ホークスに行きます”と電話した早大の先輩は…

[ 2023年1月29日 05:00 ]

ソフトバンク入団会見でユニホームに袖を通し投球フォームを見せる有原(撮影・岡田 丈靖)
Photo By スポニチ

 新天地で先輩左腕の背中を追う。ソフトバンクは28日、福岡市内のホテルで有原航平投手(30)の入団会見を行った。3年ぶりのNPB復帰となる右腕は先発に強いこだわりを示し、早大の先輩でもある和田毅投手(41)の存在が入団の要因となったことを明かした。背番号「17」のユニホーム姿も初披露。開幕ローテーション入りを目指し、宮崎春季キャンプでは2月1日の初日から全開で飛ばす。

 先発として、さらに成長するには“和田ロード”を歩むことだと確信して帰国していた。球団カラーの黄色のネクタイをこの日のために新調した有原は、早大の先輩左腕への思いが、次第にあふれ出てきた。

 レンジャーズ傘下3Aを自由契約となった22年オフ。国内数球団から誘われたが、新天地を福岡に選んだ。真っ先に伝えたのが和田だった。「環境も、選手もそう。自分が成長していく中で、ホークスが一番いいと思った。和田さんには、すぐに“ホークスに行きます”と電話して“一緒に頑張ろう。分からないことがあれば、どんどん聞いて”と言われた。たくさん質問して勉強したい」。質問攻めで貪欲に吸収するつもりだ。

 日本ハムでの実働6年で3度の2桁勝利を刻んだ有原は、先発にこだわる。「先発で、ちゃんと投げることが自分がやらなければいけないこと。それを考えると、アメリカでは難しそうだった」。参考になったのは、同様の軌跡を残してきた和田だった。早大卒業後にNPBデビューからメジャー挑戦、そして国内で先発復帰。先輩左腕はソフトバンクに復帰した16年に24試合で15勝を挙げ、昨季の41歳シーズンで自己最速を更新する149キロをマークした。その姿は憧れだ。

 「大学の大先輩で、長い期間、活躍されてスピードもまだ上がっている。常に向上心を持ってやられている。僕も勉強になる」

 3年12億円プラス出来高(推定)での大型契約。当面、和田のチームメートとして右腕を振れるはずだ。「和田さんの経験は、みんなが持っているものじゃない。あの年齢まで一線でプレーできるのは本当に凄い。そういう選手に近づけたらな」。まさに和田は、理想像だ。

 宮崎春季キャンプはともにA組スタート。有原は、この日午後には筑後市のファーム施設を初訪問し、屋内施設でキャッチボールなどを終えた。キャンプインを前に状態は万全だ。「2月1、2日は(ブルペンに)入りたい。問題ないし、キャンプからペースを上げて投げていきたい」。開幕ローテーション争いのライバルにもなる和田に学び、腕を磨く。(井上 満夫)

《有原に聞く》
 ――率直な今の気持ちは。
 「福岡に来て、入団できてうれしく思っています。何回も福岡(ドーム)で投げさせてもらい、やりにくいチーム、強いチームという印象だった。声をかけてもらってうれしかった」

 ――ホークスに決めた一番の理由は。
 「この2年間、正直、先発の数をこなしてなかった。“対戦していて手ごわかった。一緒にやろう”と言ってもらって、貢献したいと思った」

 ――ホークスのイメージ。
 「どんな選手も、みんな素晴らしい選手だった。柳田さんには何本も本塁打を打たれている。柳田さんの印象が強いです」

 ――近藤健介とまた同じチームになる。
 「近藤という友だちがいるので少しやりやすいかなと思います。本当にチャンスに強い、心強い選手。何度も助けてもらった。これからも助けてもらいたいと思ってます」

 ――2年間の米国生活はどうだったか。
 「本当に苦しい時間が多かった。これだけ向き合ったのもなかなかない時間でした。成績は残せなかったが、この経験を生かし成長するのが大事」

 ――自身の持ち味は。
 「いろんな球種を使って、球数少なく長いイニングを投げることが僕の強み。そこはぶれずに、続けていきたいと思います」

 ――日本では最多勝など実績十分だが。
 「この2年間、日本の野球を知らない。僕がいたときとも違う。ルーキーのようにがむしゃらに。目標は考えていない。とにかく優勝に貢献できるように1年間投げる、それだけです」

 ◇有原 航平(ありはら・こうへい)1992年(平4)8月11日生まれ、広島県出身の30歳。広陵では3年時にエースとして春夏連続甲子園出場。早大では1年春から六大学リーグに登板し、3年秋に最優秀防御率を獲得するなど通算19勝12敗。14年ドラフト1位で4球団競合の末、日本ハム入り。15年新人王。19年に15勝で最多勝を獲得。ポスティングシステムを利用し、21年からレンジャーズに移籍。1メートル89、95キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

2023年1月29日のニュース