「どれだけ犠牲になれるか」アツアツの阪神冷ますヤクルト・村上の“圧圧” CSファイナルSでも存在感

[ 2022年10月12日 05:30 ]

決戦を前にサンタナ(右)の肩をもむ村上(撮影・沢田 明徳)
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 プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)は12日にセ、パ両リーグのファイナルステージが開幕する。優勝チームが1勝のアドバンテージを持ち、6試合制で日本シリーズ進出を争う。セは2連覇のヤクルトが3位から勝ち上がった阪神と神宮で対戦。日本選手最多の56号を記録し、3冠王にも輝いた村上宗隆内野手(22)は自己犠牲の精神を念頭に置いて大一番に臨む意向。仮に不調でも進塁打や四球などで圧力をかけまくる。

 体中に熱い思いが巡る。だが頭は冷静だ。昨年とは違う。今年は日本選手最多56号と3冠王の称号を手にして臨むCSファイナルS。村上は「凄く気持ちも高ぶっています。(本塁打を)もちろん打てればいい」とCS初アーチを視野に入れつつ「しっかり自分のスイングができるよう頑張りたい」とも語った。

 シーズンMVPに輝いて臨んだ昨季の巨人とのCSファイナルSは9打数2安打で打率・222、0本塁打、1打点。その後の日本シリーズでは2発を放ったが、CSに良い思い出はない。それでもチームを勝たせることが4番の仕事だ。本塁打へのこだわりは強いが「勝つことだけを考えてやることが一番。チームのためにどれだけ犠牲になれるか、力になれるかを考えてやるのが大事」と強調。自身の状態や状況に応じ進塁打や四球などで相手に圧力をかける。

 シーズン中もいずれもチーム歴代トップとなる25敬遠、118四球を選んだ。好機を広げて後続が走者を還し両リーグトップ619得点の好循環を生んできた。それだけに高津監督も7日の会見で「彼のバットは勝敗を大きく左右する」と打のキーマンに指名。主砲も「4番である以上、プレッシャー、期待は凄くかけられる。それに応えるのも4番の仕事」と自覚は十分だ。

 前日にファイナルSの相手が阪神に決まった。新守護神の湯浅が名前の「京己(あつき)」にちなんでインタビューなどで「アツアツ」と連呼するなど相手は勢いに乗るが、このカードで4番の勝負強さは増す。今季同戦は打率・260、7本塁打、17打点。いずれもセ・リーグのチーム別でワーストだが、得点圏打率は・438で最も高い。人気チームを相手に研ぎ澄まされる感覚。7月31日の対戦では3打席連発を放ったが「相手がどこであろうと自分たちの野球をする」と勝利に直結する打撃に徹する。

 練習試合を除けば神宮ではレギュラーシーズン最終打席で56号を放った3日のDeNA戦以来の試合。この日は神宮外苑で調整した村上は「一球一球、一打一打が鍵になる。最大限のパフォーマンスを見せられれば」と誓う。一投一打で流れが激変する短期決戦。勢いに乗る相手に圧力をかけ、主導権を握る。(青森 正宣)

 《阪神は天敵?打撃3部門対戦カード別でワースト》3冠王に輝いた村上(ヤ)だが、阪神戦は打率・260、7本塁打、17打点で、3部門ともセの対戦5カード中でワーストだった。ただし、得点圏打率・438はDeNA戦の・435を上回るカード別最高で、勝利打点3度もDeNA、巨人、広島戦に並ぶ最多回数。トータルの数字こそ物足りなかったが、好機では結果を残していた。

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