エンゼルス元指揮官オースマス氏が語る 19年の“辛抱”から始まった打者・大谷の覚醒

[ 2022年10月12日 12:15 ]

大谷の進化を語ったオースマス(撮影・柳原 直之)
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 10月3日。エンゼルスの大谷が今季最終カードの敵地アスレチックス戦を前に、ア軍のコーチとハグを交わし、笑顔で談笑していた。

 「大谷ファン」なら覚えている方も多いだろう。そのコーチとは、19年にエンゼルスの監督を務め、22年からアスレチックスのベンチコーチを務めるブラッド・オースマス氏だ。2年連続で二刀流で活躍した大谷について語り始めると、深く刻まれた顔のしわをさらにクシャッとさせ、柔らかな笑顔を見せた。

 米2年目だった19年の大谷は右肘の手術明けで打者に専念した。106試合に出場し、打率・286、18本塁打、62打点。新人王に輝いた18年から成績を伸ばせず、後半戦は不振に苦しんだが、オースマス氏は大谷をDHで起用し続けた。「我々は可能性を信じていた。打席で学ぶ機会を与える必要があると思った」と振り返る。

 理由は明確だった。当時のビリー・エプラーGM(現メッツGM)と意見が一致していたからだ。「翔平はいずれ投手と打者で最も偉大な選手になる」。オースマス氏は19年限りで、エプラーGMも20年限りで解任されたが、19年の“辛抱”が「打者・大谷」の21年からの飛躍に一役買った。

 オースマス氏は現役時代に野茂英雄や通算354勝の大投手ロジャー・クレメンスとバッテリーを組んだ。「私は40歳のロジャーの球を捕っていたが、2人とも力のある速球、スプリット、スライダーを投げる。今の翔平は野茂というより、若い時のロジャーに似ているだろう」。エ軍監督就任後のキャンプではブルペンで大谷の投球をよく受けただけに、説得力は十分だ。

 二刀流で2年連続で歴史的な活躍を続け、今や「メジャーの顔」。オースマス氏の喜びは格別だ。(記者コラム・柳原 直之)

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2022年10月12日のニュース